2024.6.12作成
まず、マツウラ企画ではご参加いただけるお客様に主催者側から保険を掛ける等の業務は行っておりません。
その考えとしましては、山での保険は登山者ひとりひとりがその必要性の要否、掛ける場合の金額等を自ら検討し決めるべきだと考えているからです。
普段の生活の中で皆さんが生命保険や火災保険などを自分で決めているのと同じ理由ですね。
つまりご自身が未加入であれば、遭難救助の費用や滑落・転倒などでの医療費の補償は一切受けることができないということになります。
(ガイド山行中の事故でガイドに明らかな過失があれば裁判を起こして損害賠償請求をすることが可能ですが…)
ここで山岳保険はあくまでも「装備のひとつ」とイメージしていただくと分かりやすいかも知れません。
手厚く掛けて万全にしておきたい方はそれも良し(保険は装備品と違って重くはありませんからね)、加入無しで行くのであれば"そのリスク"をしっかりと受け止めているのであれば、それもそれでありだと思っています。
とは言え山での活動にどんなリスクがあるのか?
これから本格的に登山を始めたい方などにとってはなかなか想像するのが難しいところなのかな?と感じているのも事実です。
ここではその「山でのリスク」から「山岳保険商品の紹介」までを解説したいと思います。
少し長くはなりますが、特に保険に未加入の方はぜひご一読下さい。
登山におけるリスク、端的に言えばそれは「遭難」です。
道迷い、滑落、転倒、落石、落雷、雪崩、低体温症、熱中症、急な病気の発症、野生動物からの危害、体力不足によるバテ…
それらのどれもが行動不能を経て死に至る可能性すらある「遭難」のきっかけとなり得ます。
そうです、山や自然の中では「怪我をする可能性」「行動不能になる可能性」「死に至る可能性」が多く潜んでいます。
山に登った経験が多ければ多いほど、その身近さはイメージできるのではないでしょうか?
現にほぼ毎日どこかしらの山で登山者が遭難してメディアに報道されています、一年のうちに山岳遭難が無い日は数えるほどしかないと思います。
なにか脅すようなことを書いているようですが、それが真実です。
「じゃあそもそも山に行かなければいいのでは?」
そうです。山での遭難を100%避けたかったら山に行かなければいいのです。
でも考えてみてください、山に行かなければ日々は安全か?
そうではないですよね、街にいても怪我や病気で救急車のお世話になることなんてザラで、それこそ日本中で救急車や警察が出動しない日は皆無でしょう。
そう、山に入らなくても日々の生活にリスクは十分に潜んでいます。
そういった日常の病気や怪我や事故のリスクに皆さんはどう備えていますでしょうか?
日々の病気にならないための健康的な食事や運動を心がける
交通事故が起こらないように安全運転を心がける
火事を起こさないように火の取り扱いに気をつける
などなど。
そういった心がけや注意でほとんどのリスクを回避していることと思われます。
山でのリスクについても考え方はほぼ同じです。
道迷いをしないように歩く道や地図をよく確認する
バテないように装備を軽くする
滑落や転倒をしないように慎重に歩く
雨や寒さ対策をしっかりとして低体温症を防ぐ
天気をよく確認して沢の増水や雷を避ける。
など。
街でのリスク対策に対して、山ではそういったリスク対策が必要になってきます。
そして、これは個人的な考えと言われるかも知れませんが…
山に登る、自然に入るという行為は間違いなく人間の生活を豊かにします。
心と体の健康を保つのにこんなにもいいものを利用しない手はありません。
そして的確なリスク対策+適切な保険加入の備えがあれば山に入るメリットはリスクを大きく上回るとマツウラ企画では考えています。
つまり冒頭で書いたような「遭難したくないから山に入らない」という考えは単なる思考停止であり、正に本末転倒ということになります。
ここからが本題ですが、ではその山に入る心がけ、対策ができているのであれば全てのリスクは排除できるのでしょうか?
残念ながら答えは「NO」の一択です。
「お申込みの前に」の中にも書きましたが山では(街でも)どんなに努力しても、慎重に行動しても、知識があっても、たとえガイドが同行していても時に"抗えない事故"が起こります。
そうのような"抗えない事故"に、特に金銭面で備える為に「山の保険」の出番になるのです。
あくまでも怪我や遭難をしないバリヤーのようなものではなく、起こってしまった後の金銭面の補償がメインであることを間違えないで下さい。
日常生活の保険と考え方は全く一緒です。
当たり前のことを書きますが、どうしても起こってしまう事故や遭難に対して備えるのが保険なのです。
まず、山の保険でカバーできることを挙げてみましょう。
・捜索・救助費用の補償
・山での事故による入院・通院の費用の補償
・傷害死亡補償
・手術補償
・山の他人怪我等へ与えてしまった場合の個人賠償費用の補償
・装備の破損・盗難への補償
といったところでしょうか。
これだけを見ても様々なシーンを想定した保険が用意されていることが分かりますね。
中でも捜索・救助費用の補償という点は山の保険の代名詞的な項目だと思いますし、それが備わっていなければ「山の保険」とは呼べません。
そして第三者への賠償責任に対応する補償や装備の破損・盗難に対する補償などは広くリスクをイメージした、まさしく「備え」というニーズに合致するものだと思います。
これらの補償等を保険に加入せず
「事故が起きたら自分で対処できる」
もっと分かり易く言えば
「保険に加入せずとも、山の遭難や事故で発生する諸所の金銭的問題に対応できる」
とイメージできるのであればそれも一つの判断です。
つまり補償されるのは大体にして「お金」ですからマツウラ企画から、「加入必須」と言うことではないと思っています。
ただ、それは実際にかなり熟練した登山者でもなかなか持てないイメージだと、個人的にはそう思います。
それでは次はどんな保険商品があるのか、それを少し紹介しましょう。
今は多種多様な保険商品があり全て記載するのは難しいのと、それではみなさんも逆に迷ってしまわれると思います。
そこで、ここでは山と渓谷社発行の「山の便利帳2024」の「6 山岳保険」の項を参考にさせていただき、その中から
・年間保険料が1万円以下(月額の場合833円以下)
・捜索救助 または 救援者費用 の補償が500万円以上
・誰でも加入できる
という三つの条件を満たす保険商品を出している会社をピックアップしてみました。
なぜ入院・通院の費用補償、死亡や後遺障害の補償を重要視しないのか?
と思われるかも知れませんが、それらは旅行等に対応する「傷害保険」で対応可能だからです。
繰り返しになりますが、あくまでも山での保険において重要なのは、捜索・救助費用の補償であると考えています。
オーセンティックジャパンが取り扱う「山岳遭難対策制度」となります。
単に捜索・救助費用の補償のみならず、ヘリやドローンによる捜索救助活動そのものが提供されます。これはもやは保険の枠を飛び出している正に山岳遭難対策制度と言えます。
詳しくはココヘリのwebサイトをご覧いただければと思います。
非常に分かりやすく作られているページですので、山岳遭難のリスクなども十分に学べる内容となっています。
また、ココヘリの凄さはそれだけにとどまらず。
捜索・救助費用補償は550万円、個人賠償責任1億円、アウトドア用品補償が3万円と内容も登山のリスクを幅広く捉えたものになっており、マツウラ企画としても今入るべき最もおすすめの保険(…ではなくて山岳遭難対策制度)と感じております。
一部の山域では冬季に限定して加入が必須となっているなどの実績も、その効果の高さを示しています。
年会費はベーシックプランで5,500円となります。
※かつてのジローはココヘリと統合しました。以前の捜索救助のみの補償も「ココヘリ準会員」として存在しており月額2,200円で550万円までの捜索救助費用が補償されます(ただし電波による捜索は不可)。
こちらも詳しくはココヘリのwebサイトにてご確認下さい。
言わずと知れた国産トップ山岳ブランド「モンベル」の取り扱う保険商品です。
野外活動保険・山岳保険と2つのカテゴリーに別れていますが
野外活動保険は、ハイキングやトレッキングなどの山登りに対応
山岳保険は、アルパインクライミングや山スキー、ロッククライミングなどにも対応する保険です。
なお、マツウラ企画の公募企画であれば野外活動保険で全てカバーできます。
各々、シンプルプラン→スタンダードプラン→安心プラン と補償内容を手厚くできるのですが、どのプランも救援者費用は500万円となっており、個人賠償責任も1億円となっており、それ以外の入院・通院や死亡・後遺症、携行品損害などはプランによって保障内容が変わってきます。
最も安価な野外活動保険のシンプルプランは1年の保険料が3,420円。
それでも救援者費用と個人賠償責任の額は同じですから金額面でとても優秀な保険といえます。
ただ、野外活動保険のシンプルプランの場合、入院・通院、傷害医療費用、携行品損害は補償の対象外です。
更に年間の山行数の少ない方向けに1泊2日250円から入れる保険商品も用意されています。
詳しくはモンベルの保険ページをご確認下さい
日山協(公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会)が扱う保険商品です。
加入には1,000円の共済会費が必要ですが、それを加味しても通院補償なしのⅠタイプで3,870円と安価です。
その上、モンベルの野外活動保険のシンプルプランには無かった傷害入院が支払われます。
ただ、このハイキングコースは雪山登山は対象外ですので、注意が必要です。
雪山やロッククライミング等の山岳登攀が伴う活動用に登山コースも用意され、更にはトレランコースやスポーツクライミングコースなどもあるなど、幅広いアクティビティに対応した保険商品が日山協山岳共済会の魅力です。
詳しくは日山協山岳共済会山岳共済事務センターのwebサイトでご確認下さい。
やまきふ共済会が取り扱う山岳保険制度です。
何と言っても最大の特徴は救援者費用・遭難捜索費用の上限が1,000万円と業界最高額であること。
そして山岳登攀やバックカントリースキーなどどんなスタイルの登山でも捜索、救助費用の補償対象となります。
ただし、全ての補償を受けるには登山計画書の提出が必須。
これは登山届の提出を促すとても素晴らしい取り組みだと感じています。
※やまきふでは登山届を出していないと「救援者費用が上限500万円、一般的な登山のみが対象」と補償内容と範囲がグレードダウンしてしまいます。
遭難補償に特化した一般会員プランは年額4,000円、入院や賠償責任も含めたプラス会員やエキスパート会員の設定もあります。
補償内容は下がりますが、1日(660円)・2日(990円)・4日(1,600円)という短期間の加入が可能なワンタイム会員の用意も。
詳しくはやまきふ共済会のwebサイトでご確認下さい。
その他にも
・セブンエーの登山・クライミング保険
・Yahoo!ちょこっと保険・山大好きプラン
・au保険「ケガの保険 日常の事故」
・楽天超かんたん保険・アウトドアプラン
・三井住友カードポケホ・トレッキングコース
・ABC少額短期保険のレスキュー費用保険
・ALL保険プラザの「個人加入できる山岳保険」
などが捜索・救援費用の補償が付いた保険商品を販売しております。
数多くの保険商品があることがお分かりいただけたかと思います。
「結局どれが良いのか…」と迷ってしまわれたかも知れません。
実際に一般の「保険」の世界でもその商品選び、アドバイスが職業になるほど多岐に渡る難しさがあるのが現状です。
山の保険につきましても、これを機に
「自分の山行頻度、自分の活動内容に最も合った保険はどれなのか?」
を改めて見直していただき、登山靴やバックパックなどの装備品と同様に、一度保険についても深くご検討いただく時間を作っていただくのも、今後長く山や自然を楽しまれるうえで有益な時間なのではないかと思う次第です。
山の保険選びの際に、何か不明なことや分からない用語などがありましたらいつでもお気軽に お問い合わせフォーム または メール(mt.shin78@gmail.com)にてご相談下さい。
ご自身の目的やニーズに合った良い山の保険選びを!
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