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蝶ヶ岳・天狗岳・南八ヶ岳

蝶ヶ岳・天狗岳・南八ヶ岳

更紗満天星(サラサドウダン)
更紗満天星(サラサドウダン)

6月の上旬から中旬に行った3つのガイド登山。

どの日程もパッとしない天気予報で、出発前は、う~ん。といった感じでしたが、結果的にどれも素晴らしい山行となりました。


蝶ヶ岳

岳沢と穂高岳
岳沢と穂高岳

上高地に着いてみると予想を反して空には青空がのぞいていました。

河童橋付近からのお決まりの構図もこの通り、稜線はばっちり。

とりあえず良かった。

 

お客さんとバスターミナルで合流し、徳沢までは花や木を見つつのんびり散歩気分。

 ニリンソウは後半戦。サンカヨウの花は終了。ベニバナイチヤクソウがこれからでしたが、それでもかなりたくさん見られました。

 

みなさんテント装備で荷物も重めなので、いろいろ見ながらゆっくり歩く方が体への負担も少なく◎。 

徳沢キャンプ場
徳沢キャンプ場

週末でしたが、徳沢キャンプ場ではこんな感じでゆったりと張れました。

 

偶然にもアライテント×3とダンロップ×1とALL made in Japan!!

最近にしてはなかなか渋めのランナップですね。

かぶりがちなテントの色も今回は青、橙、緑、黄と色違い。

朝の前穂高
朝の前穂高

翌朝。徳沢からの前穂高岳は山頂付近にガスが立ち込めていました。

雨降り覚悟で蝶ヶ岳へ出発。

槍見台からの槍ヶ岳
槍見台からの槍ヶ岳

横尾まで進み、分岐から蝶ヶ岳への斜面に取り付きます。

途中の槍見台からはわずかに槍の穂先が!

期待薄だったので嬉しい。

 

この先でしっかり予報通りに雨が強まり…

雨具を着て蒸れと戦いながらゆっくり着実に登っていきます。

 

残雪も現れましたが適度に緩んでいてツボ足のキックステップで楽に歩けました、結局下山も含めてアイゼンは未使用でした。

 

この感じだと目的の槍穂高の展望は無理かな…

蝶ヶ岳からの槍穂高連峰
蝶ヶ岳からの槍穂高連峰

と思いながら稜線に出ると……おお!

上下に雲はかかっているものの、至近距離に雪を纏った槍穂高が!コントラスト強めで迫力が凄かったです。

 

結果的にはここが今回のハイライトでしたが、雲が盛んに流れる希望と落胆の連続のドラマチックな展開を楽しめました。

蝶ヶ岳の稜線
蝶ヶ岳の稜線

その後は梓川に立ち込めていた雲海が稜線にせり上がって来て稜線の左右が雲という写真のような状態に。

 

この後は山頂を踏んで、残雪の残る静かな長塀尾根を下りました。

徳沢まで下りるとテントも無事乾いており、スムーズに撤収。

人の少ない梓川沿いの散歩道をおしゃべりしながら上高地まで戻りました。

 

ご参加ありがとうございました!!

また是非どこかでテント泊登山を楽しみましょう。


天狗岳

唐沢鉱泉源泉
唐沢鉱泉源泉

お次は日帰りで天狗岳。唐沢鉱泉からスタート!

この日も天気予報は雨予報。

苔の森の陽が差す
苔の森の陽が差す

意外に降ってこないな…と思ったら逆に陽が差してきました。

この道は久々だったんですが、こんなに苔凄かったんですね。さすが北八ヶ岳。

イワセントウソウ
イワセントウソウ

苔の森には繊細な花、イワセントウソウが。

 

葉の形が切れ込まない細い線形だったり、わずかに切れ込みがあったりしますので、分類に慣れてくると逆に「違う花かな?」とか思ってしまいますが、同じものです。

また根生葉(ぼやけてますが写真中央の下)と茎につく葉(ピントが合っている葉)は全く違う形です。

 

亜高山針葉樹の苔の森でこの雰囲気の花を見かけたらイワセントウソウと思って良いかと。

苔に覆われた倒木
苔に覆われた倒木

おみごとの一言。

中山峠
中山峠

黒百合ヒュッテでの休憩時に雨がパラパラときました。

 

中山峠は風が抜けるせいかガス濃いめ。

さてさてここから天狗岳への登りがはじまります。

天狗の庭を見下ろす
天狗の庭を見下ろす

しばらく登ると森林限界となり景色もだいぶ開けてきます。

 

眼下には天狗の庭と黒百合平、奥に中山。

その奥に茶臼山、縞枯山、北横岳、かろうじて蓼科山も見えてる!

西尾根から西天狗岳
西尾根から西天狗岳

東天狗岳の山頂を経て、西天狗を経由し天狗岳西尾根を下山中に西天狗を振り返る。

 

結局大して降られず、曇のおかげで暑さも和らぎなんだか快適な登山になってくれました。

小さな花もたくさん見れたし、雨後で苔はばっちり開いていたし…

と思ったら唐沢鉱泉到着手前でまぁまぁ降られましたー。

まぁ山頂付近は穏やかで良かった良かった。

 

山は来てみなくちゃ分からない。それを如実に表す一日でした。

※当然大荒れ予報の日は例外です。

 

帰りはお客さんに諏訪の小作でほうとうをご馳走になりました!

ありがとうございました!そしてお疲れ様でした。


南八ヶ岳縦走 day1

編笠山山頂
編笠山山頂

またまたやってきました。今度は南八ヶ岳。

 

観音平から編笠山までたくさんの花(特にサラサドウダンは物凄かった)を見ながら登ると…

編笠山から権現岳
編笠山から権現岳

おー!行く先が見えてる見えてる。

明日は青年小屋~権現岳~赤岳~横岳~硫黄岳山荘の南八ヶ岳核心部を歩くのですが、ばっちり雨予報。

今日のうちにこの景色が見られて良かった。

 

さてさてゴーロを小屋まで下ります。

岩の間にイワカガミの群落が映えまくってました。

青年小屋
青年小屋

到着!遠い飲み屋。

この日はテントは10名ぐらいいた感じでしたが、泊まりはなんと我々1組。

食事も相変わらず美味しくてもう快適そのもの。

 

丁寧に対応してくれた小屋番さん、ほんとにありがとうございました!!お世話になりました。

南八ヶ岳縦走 day2

ミツバオウレン
ミツバオウレン

夜の間はずーっとしとしと雨でした。

 

思ったほど強くも降らず、また風も前日、前々日の予報よりも弱めになったので少し安心して核心部の通過に望めます。

 

雨に濡れたミツバオウレン。

共にクリアな萼片の白と花弁の黄色がはっとする美しさ。

ギボシ手前のガレ場
ギボシ手前のガレ場

ギボシの横の登路。なんだかすごく凶悪に見えますが、一般ルートです。

上部がガスって見えないですが、まずこの時間は人が降りてくることもないので、落石の危険は少ない。

そして足場もしっかりしているので、見た目よりも全然易しいルートです。

 

そして足元には…

クモマナズナ
クモマナズナ

高山の岩場に生えるクモマナズナがたっぷりの水を湛えてたり。

キバナシャクナゲ
キバナシャクナゲ

キバナシャクナゲがお出迎え。

 

権現岳、朝日岳、ツルネとピークを次々越してキレット小屋へ到着。

幸いにもここまでは風も雨もそんなに強まらず。

キレットのガレ場
キレットのガレ場

本日というか今の山行3日間の核心部はここ。

 

最も危険な場所は2~30分と短い間ですが、自らの起こす落石と上からの落石に注意が必要です。

この日は天気予報のおかげか上からの登山者が皆無で、自分の足元だけに集中し丁寧に危険個所を抜けられました。

 

こういう所がわずかでもある場合はやっぱりヘルメットの装着がベターですね。

イワウメ
イワウメ

岩の間にはイワウメが咲き誇っています。

核心部の上部、稜線に出るところではチョウノスケソウも咲いていました。

赤岳山頂
赤岳山頂

稜線の強い風と横から叩きつける小雨と濃い霧に体が冷やされながらも赤岳に到着。

 

ご覧の通り真っ白ですが、なかなかの環境だったので達成感ありました。

 

余談ですが…

僕はこの日某メーカーの(GORE-TEXではない)レインパンツを穿いていましたが、なんと膝の部分から見事に浸水しました。

 

肘や膝は耐水圧的に浸水はあり得ると聞いてはいましたが、もろに(けっこうビショビショになるほど)膝部分から浸水したのははじめてで勉強になりました。

 

高透湿とストレッチを売りにしている製品だから?

どうなんでしょうか??

 

去年の8月に買ったもので、冬は穿かないので使用回数はおそらくまだ20回ほど、低摩擦箇所の撥水はまだまだ十分に生きていたのでまだメンブレンが劣化するほどではないだろうし…

なんでもスリムめに着ようとする自分のフィット感の好みも悪い方向に作用したのか…?

 

仕事柄、人よりもいろんな商品を見て着てきましたが、まだまだ不可思議なことが起こります。

 

帰宅後、とりあえず因子となるのであれば高ストレッチは要らないので、ストレッチ性低めで(我慢して)ややゆったりなシルエットのものを買ってみました、またしてもGORE-TEXではない商品を…。

 

※GORE-TEX製品を選ばないのは色々な製品を試して発見したいという単なる好奇心です。逆にGORE-TEXは良くて当たり前という信頼感を持ってるからこそ選ばないだけです。

 

レインウェアの浸水体験がある方は是非お会いした時にお話しお聞かせ下さい!!

ツクモグサ
ツクモグサ

赤岳から横岳の通過はやっぱり強風地帯ということもあり、雨は大したことないのですがゆっくりと花を見る環境ではなく…。

ですので、後ろ髪引かれながら足早に通過しました。

 

でもツクモグサは大当たりのタイミングだったなぁ。ちょっと悔しい。ウルップソウはもう少しでした。

 

写真は唯一風を避けて間近で見られた岩陰に咲くツクモグサ。

今日は開くことなく。お休みですね。

 

硫黄岳山荘の手前では今日イチの風に煽られながらもがんばって山荘にたどり着きました。

この日はホントにお疲れ様でした!

南八ヶ岳 day3

硫黄岳山荘
硫黄岳山荘

翌朝外に出てみると…空は真っ白。

 

回復予報も午後からと出ていたので、まぁまぁ仕方なし。

でも東からは薄日が差しているような気も。

 

今日は硫黄岳~赤岩の頭~赤岳鉱泉~行者小屋~南沢~美濃戸です。

おや?
おや?

出発直後。おやおや?なんか見えてきたぞ。

(6:42)

おおっ!
おおっ!

急に!?阿弥陀!!(6:51)

晴れたー!!
晴れたー!!

あらあら、スッキリ。(7:06)

八ヶ岳核心部と青空
八ヶ岳核心部と青空

ついに待ち焦がれた青空が!!(7:24)

八ヶ岳核心部と南アルプス北部
八ヶ岳核心部と南アルプス北部

ちょっと午前中は無理なのかなーなんて思ってたらこれ。

南アルプスまでばっちり。

歩いてきた権現岳、赤岳、横岳を赤岩の頭付近から見返すと、昨日の苦労も一気に報われる気持ちです。

 

硫黄岳の山頂からは北アルプスもドーンと見えました。

雲海と奥秩父
雲海と奥秩父

そんな中、自分的に一番よかったのが奥秩父の金峰山、瑞牆山、小川山付近の景色。

踊るように騒ぎ湧く雲海の中にどっしりとそびえる奥秩父の黒い山々。

 

どピーカンでずーっと端から端まで全部見えるのもたまにはいいけど、雲があった方がより山は引きたちます。

「展開」がないと。

3時間ずーっと見えてるよりも2時間59分ガスったあとの1分間の方が絶対に感動しますから。

 

ですので、雨の日も曇りの日も山に来てみましょう。

ただし、ちゃんとした雨装備は必須です。

キバナノコマノツメ
キバナノコマノツメ

雨の後の足元にはこんな景色も待っています。

タケシマラン
タケシマラン

どっさりと花をつけたタケシマラン。

下を向いた5mmほどの繊細な花ですが、なぜだか力強さを感じます。

 

この赤岩の頭から赤岳鉱泉への道は苔が素晴らしいのと、他にもこの時期オサバグサがたくさん咲きます。

緑の絨毯
緑の絨毯

行者小屋から南沢に入るとそこは南八ヶ岳の苔天国。

ちょうどしっかりと天候も回復し、日差しに苔が輝きます。

昨日まではしっかり雨だったので、苔の開き具合も完璧で最も綺麗な苔の森歩きとなりました。

こればっかりは現地で見ないと素晴らしさは分かりません。

美濃戸山荘
美濃戸山荘

南沢の終点は美濃戸山荘。6月中旬から再開とのことで休業しており、当然いつもの賑わいもなく…。

 

ここは登山者の下山の安堵と入山の期待が入り混じり常に熱気と活気に満ちたイメージしかなかったので、この人のいない風景が妙に寂しく感じました。

 

八ヶ岳に一日でも早く以前の活気が戻ることを切に願います。

 

ここからは車を避けてできるだけ徒歩道を繋いで美濃戸口へ。

終わりよければ…じゃないですが、苦あれば楽ありの充実の3日間が過ごせたのではないでしょうか?

 

お疲れ様でした!!


そんな感じの6月前半戦でした。

 

雨予報でも行ってみなければ分からない、この時期はそんな時期ですね。

ただ途中でも書きましたが、危険レベルの悪天候で突っ込むのは全くの別問題。

力量にもよりますが、人間の存在などは時に山の気象の前では塵の如く潰されてしまいます。

 

そこを見極めたうえで、ちゃんと計画・準備をして入山すればきっと素晴らしい景色や場面が待っています。

展望だけ登山じゃないし、登頂だけが登山の価値ではありません。

 

フランスのアルピニストで名ガイドでもあるガストン・レビュファは「困難は愛するが、危険は大嫌いだ」という言葉を述べています。

その「困難」と「危険」をしっかりと捉えることができて、これは愛すべき困難だ。と思えた時には『雨に唄えば』を口ずさみながら山に入ってみるのもいいかも知れません。


☆募集中の企画です!!

  

○朝日を浴びる剱岳の絶景、緑がそよぐハイマツの海、後立山の盟主をじっくりと楽しむ。

7/16(金)-18(日)ゆっくり歩く・鹿島槍ヶ岳

※明後日13日まで募集延長してます!!

 

○剣ヶ峰だけじゃない!コマクサ咲く継子岳、雷鳥にも出会えるかも。

8/8(日)-9(月)コマクサ咲く御嶽山

 

○槍穂高の展望台、信州の名峰を縦走。

8/20(金)-22(日)常念山脈縦走・燕岳~常念岳

 

○無理なく、急がず、北アルプスの頂点に立つ。 

8/26(木)-29(日)北アルプスの主峰・奥穂高岳

 

他にもいろいろと募集中です

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みなさまのご参加お待ちしております。