霧ケ峰
5月中旬にプライベートガイドのご依頼をいただき霧ケ峰に行ってきました。
天気予報は下り坂でいまひとつでしたが、車山付近からはなかなかいい展望が開けました。
車山肩の駐車場から登山開始。まずは車山の山頂を目指します。
道すがらにはタチツボスミレやショウジョウバカマが見られました。
意外にもショウジョウバカマはまだわりと咲きたてな感じ。
1時間ほどゆっくりと登って車山山頂に到着。
今日はここから車山乗越~蝶々深山~八島湿原~鷲ヶ峰往復~旧御射山遺跡~沢渡~車山肩というやや長めの周回+αコース。
この車山レーダーは富士山頂にあったレーダーの代替として1999年に設置されました。静岡の牧之原レーダーと連携して富士山頂並みの観測範囲を実現しているとのこと。
レーダーのすぐそばには新たに展望テラスが設置されていました。
車山を後にして階段を下り切り、少し進むとこんな奇岩が現れました。
車山乗越に到着、ここから霧ケ峰の草原ゾーンのど真ん中に入っていきます。
雲は多めですが天気はまだ持ちそう。
草原内には植生保護のため木道が敷かれています。
正面のなだらかな山は蝶々深山。
ここは標高約1800m、中部地方ではおおよそ1500m~2500mは亜高山帯針葉樹林であることが基本。
亜高山帯針葉樹林って漢字ばかりで??かも知れませんが、わかりやすいところで言うと北八ヶ岳の苔の森のような植生のことを言います。まっすぐな木があって、色の濃い葉に頭上が覆われて、足元は苔で、という少し暗いあの感じの林です。
ではここはどうでしょう?全く違い草原ですね。
山を歩くと謎がたくさんです。
蝶々深山に登頂。ゆるい登りって意外と疲れる。
山頂からは360度の展望です。
蝶々深山からゆるーいアップダウンで物見石(岩)に到着。
ここは風が強くて早々に先に進みました。
少し進むとすぐに風は弱くなりました。風の通り道だったようです。
視界の先には広い芝地のようにみえる八島湿原が見えてきました。そのすぐ右が鷲ヶ峰です。
現在は休業中の奥霧小屋のところに新しいトイレが設置されていました。
ここから八島湿原の木道歩きになります。
シュレーゲルアオガエルの蛙鳴を聞きながら木道を進みます。
あっちこっち花が早いと言われる本年ですが、さすがにちょっと時期尚早だったようで、これと言って花は見られず。
ズミはつぼみがちょっと見られたぐらいで、まだ先でした。
ちなみに「八島湿原の蛙鳴」は環境省が選んだ 残したい日本の音風景100選 です。
湿原の縁をぐるりと回り「七島八島」の大きな看板のそばのベンチでお昼休憩をして鷲ヶ峰に取り付きます。少し登った礫地にキジムシロ。
これこれ!今回は鷲ヶ峰の花に期待していましたが、咲いてて良かった。
写真では一見普通のスミレにしか見えませんが、実物はちょっと驚くほど大きい「サクラスミレ」です。
花弁の上端から下端まで大きいもので2.5cmから3cmぐらいの大きさがあります。個体差ありますが、横幅も同じぐらい。
色が似ているタチツボスミレとは側弁根元(花の中心部分)に毛があることで簡単に区別できます。
この日はこのスミレがたくさん見られました。
お次はアケボノスミレです。こちらもなかなか特徴的なスミレ。
なんといっても色が良いですね。
花の時期にあんまり葉っぱが目立たないのが特徴。
西に見える中央アルプスで明らかに雨が降っている様子が見えました。ここもまもなく降るかなーと思ったらあっという間にポツポツきました。
しばらく続く気配なので躊躇せずに雨具着用。
八島湿原方面を振り返ると奥の蓼科や八ヶ岳の方が雨雲に覆われている感じ。
山頂付近は西風も受けるので、残念ですが山頂にタッチしただけで下山開始。
晴れていればとても展望の良い山頂です。
下山時に足元にはヒメイチゲも見られました。
ほとんどの個体は花が終わっていましたが、ちょろちょろと残っているものも。
この後は旧御射山遺跡を経由し、沢渡からの登りをひと頑張りして車山肩に下山(最後登ったから登頂?)しました。
小雨混じりの中、長い行程お疲れ様でした!
レンゲツツジやコバイケイソウも着々と花を咲かせる準備を進めていたようですので、ぜひまたその時期に再訪したいと思いました。
やっぱり霧ケ峰は霧の山でした。後半は雨で写真を撮っていないのですが、車山肩から鷲ヶ峰を見るとすっかり霧(雲)に覆われていました。
なんと年間200日ほど霧が発生すると言われる霧ケ峰、車山山頂で年間298日という記録もあるそうです。
その景色を見て、この霧や風、冬の寒さが長い年月をかけて霧ケ峰を育んできたんだなーと感じました。
で、その霧を見てふと思いだしたこと。
このビーナスライン建設問題を題材に書かれた新田次郎氏の『霧の子孫たち』。
ビーナスラインを通って車山直下までアプローチできるのは素晴らしいことですが、当初この道路の建設計画は、この日も歩いた八島湿原や旧御射山遺跡を貫通するそれは酷いものだったようです。
この本(文庫版)の吉村喜彦氏の解説がとても好きで、その解説の最後は人類学者レヴィ=ストロースのこんな言葉で締めくくられています。
「世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう」
その紛れもない事実は絶対に忘れてはいけませんね。
是非、その解説も含め自然を探訪する登山者には一度読んでいただきたい一冊です。
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