上高地の水と花
緑が眩しい5月の上高地を歩いてきました。
梓川沿いを 大正池~河童橋~明神~バスターミナル とゆるーく花を見ながら周遊です。
水の写真多めでお送りします。
大正池でバスを降りて散策開始。
う~ん、思ったよりも空が白い。
大正池越しの穂高!青空じゃないのが残念ですが、見えて良かった。
改めて思うけど立ち枯れの木々はほとんどなくなったんですね。
残る立ち枯れと焼岳。
今日はいったいどんな花や景色が見られるのか?そんな気持ちでワクワクするこの木道。
ご多分に漏れず、ここでも最初に見られたのはスミレの花。
オオタチツボスミレ。
茎の途中にこんなトゲトゲの葉っぱがあるのが特徴です。
よく見る普通のタチツボスミレにもあるので探して見て下さい。
喘息薬、ズダヤクシュ。まだ開きはじめ。
薄い緑の花。ではなく苔です。
花のように見える部分は雄花盤(ゆうかばん)と呼ばれています、ってことは雄の株ということ。
この時期の主役。ニリンソウ。
デカくて艶のある葉っぱを持つオオバキスミレ。群生しやすいスミレです。
つぼみシリーズ(この日はつぼみが多かった)。
これはユキザサ、あちこちでつぼみばかり見ているので花を見るのが待ち遠しくなってきました。
田代湿原までやってきました。
田代湿原からは穂高がまたどーんと見えます。ウェストンも愛した景色だとか。
湿原の中をよーく見ると…
ニョイスミレがちらほら。別名ツボスミレ。
とても小さな白いスミレです。
これもまだつぼみのマイヅルソウです。これも白く小さい花ですが広く群落する花です。
おそらくニシキゴロモ。キランソウではないと思いますが、ちゃんと咲かないとわかりません。まだまだつぼみ。
キレイに整備された道を田代橋に向かって進みます。
小さな下向きの花をつけるタケシマラン。花より実の時の方が目立ちます。
燕万年青と書いてツバメオモトと読みます。
万年青は縁起の良い植物として園芸種で有名ですね。
実(み)は鮮やかな青!以前北海道のイワオヌプリで素晴らしい群生を見ました。
→ブログ・後志・胆振の山々を巡る-2
立派なミヤマエンレイソウ。
この日はニリンソウ以外ではこの花が一番目立っていたように思います。
ミヤマシキミの寒いところ(多雪エリア)バージョン、ツルシキミ。
本種と違わず全草毒!
右奥に田代橋。
田代橋の手前のここの水の色はいつ見てもこんな感じでハッとする美しさ。
水深の違いがグラーデションで見て取れます。
田代橋のそばのにはムラサキケマンの群落と、
キジムシロがたくさん咲いていました。
これはニリンソウの少し後の主役となるベニバナイチヤクソウのつぼみ。
準備万端です。
平安時代の武将の渡辺綱(わなたべのつな)が羅生門(羅城門)で切り落とした鬼の腕を見立てて羅生門の名がついているらしいです。
よく見ると開出毛をツンツンに立てた派手な花です。
これが側面から見たつぼみ。この状態が鬼の腕に…見えますか?言われてみればという感じですね。
ちなみに渡辺綱は渡辺氏の祖、松浦氏の祖の松浦久は渡辺綱のひ孫です。
エメラルドグリーンの梓川に黄緑色のカラマツ。
亜高山帯の針葉樹の濃い緑、じつに多彩な緑です。
奥の山は六百山。
こちらもいろんな緑。右上にちょっと見える雪のある山は西穂独標です。
梓川沿いの遊歩道を進みます。平坦でスイスイ歩けますが、よーく見ると
小さな花を発見。
花は紫ではありませんが、根から紫の染料がとれるらしいです。
エゾは蝦夷=北海道ですね。見つかった場所でしょうか。
萼片の毛にフックがあるのが、ほぼそっくりなワスレナグサとの違いです。
※思いっきり拡大すればなんとかフックが見えると思います。
ちなみにワスレナグサは外来種、エゾムラサキは在来種です。
下界のタネツケバナとの違いはいまいちよく分かりませんでしたが、生えている場所でオオバタネツケバナということにしておきましょう。
ここ上高地では取ってはダメですが、タネツケバナは本当に美味しい草です。
ひょろっと伸びたシラカバとその奥には穂高連峰。
常さんの碑の目の前になんとイワカガミが。
葉が若々しくて活き活きしています。
説明不要のthe上高地。人はまばら。
この日はさすがに入って遊んでいる人はいませんでした。
五千尺ホテルの塀の中にはホンシャクナゲがどっさり咲いていました。
すぐそばを流れる清水川にはムシカリ(オオカメノキ)の花。
外の大きな花は蕊の無い装飾花。中の小さな星型がほんとの花です。
上高地の清流、清水川。
バイカモがゆらゆらと。花は見当たりませんでした。
清水橋を渡って右に折れて川沿いを進みます。川の中はずっとバイカモ、これは水がキレイな証拠です。
ワサビも。これも水がキレイじゃないとダメ。
ビジターセンターの裏を抜けると小梨平キャンプ場の一角に出ます。フデリンドウを一株発見。
そのままキャンプ場を抜けると明神に向かう道と合流し、そこからは一本道で明神へ向かいます。
ここからはニリンソウだらけ。
元々地味めなネコノメソウ軍団の中でも更に地味なマルバネコノメソウ。
こちらも地味系、クリンユキフデ。
雪筆なんて名前がとても風流ですね。
淡い色で直立するのでとても目立つ苔、ムツデチョウチンゴケ。
明神方向へ進み小梨平を抜けた直後、小さな橋を渡るまでの間の右手斜面の苔は見ものです。
今まさに開花の最中。ミヤマカラマツ。
カラマツの芽吹きと形が似ていますよね。
繊細極まりなし。
極々小さな花をつけるイワセントウソウ。
こちらもかなり繊細なそしてなんだか不思議なコチャルメルソウ。
花は咲いていませんでしたが、ミヤマカタバミの葉。
上高地には小深山酢漿草(コミヤマカタバミ)と深山酢漿草の両方があるようです。
毒草のハシロドコロ。
ミヤマエンレイソウの変種?ムラサキエンレイソウ。
花弁がうっすらと赤みを帯びています。
↓比較にミヤマエンレイソウ
ちなみに別名はシロバナエンレイソウ
まだつぼみでしたがクルマバソウ。
花が咲いていなくてもきっちりとした2層の輪生は目に留まります。
なんだか大量発生中。
久々にゆっくり撮影できました。とても好きな花のひとつです。
エンレイソウ2種が揃い踏み。
こちらがエンレイソウ。ミヤマやムラサキと違って花弁はありません。
白砂のまぶしい沢(下白沢)を渡ると明神まであと少し。
この沢から明神の間は更にニリンソウ天国。
といったそばからサンカヨウが頻出。
一面こんな感じです。
このブログのトップの画像もこの辺りの登山道沿いの写真です。
左手に澄んだ池が出てきたらすぐに明神館到着。
少し休んで、梓川を渡った先にある明神池へ向かいます。
明神館の横にはミヤマキケマンが群生。
明神橋はほんとに絶妙な位置に架けましたよね。
橋の途中から上高地方面を見ると、立派な山が!
霞沢岳?と思いきやあれはおそらく六百山。
橋を渡り嘉門次小屋と穂高神社へ行ってみます。
初代上高地の主にご挨拶。
ここに来ると「岩魚の塩焼き」と「神河内 嘉門次」が頭をよぎりましたが…やめときました。
それから明神池拝観料が500円になっていました。
ここは秋が特におすすめ。
穂高神社奥宮からは右岸を歩いて上高地バスターミナルへ戻ります。
巨大なサルノコシカケ!
今回は河童橋周辺以外はどこも人が少なかったですが、右岸はより一層静か。
鳥の鳴き声と静かな川の流れる音だけの世界。
木道もこの通り立派で歩きやすいです。
まさに水色。
常緑の葉は栄え続ける富の象徴。富貴草。
ここまで何度もつぼみは見てきましたが、ようやくしっかり咲いた個体が出てきました。車葉突羽根草。
まるでサイダー。
岳沢登山口の近くにカラフトダイコンソウ。
するどい葉の鋸歯が荒々しい印象。
最後の橋を渡る。
場所場所でいろんな表情がありました、上高地は水に着目して歩くのも面白いです。
岳沢湿原には湿原に張り出したウッドデッキがあってぼーっとするのにおすすめの場所。
この日は先客(人)がいたのでスルーしましたが、以前来た時は猿に占拠されているときもあります。
河童橋に戻ってきました。
最後は定番のこの景色。
5月の上高地。いろいろな緑が見られて楽しかったです。
新緑と山に雪が残るこの時期が一番いいとは聞いていましたが、たしかにおすすめですね。
もう少しすると緑は濃くなると思いますが、花の種類はもっと増えそうです。
槍も穂高もいいですが、たまにはのんびり上高地もオススメですよー。
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