4月の里山いろいろ つづき(霧訪山)
4月の中旬から下旬にかけて新潟の低山と霧訪山に通いました。前回のつづきです。
霧訪山・花登山
募集企画の霧訪山・花登山、地元塩尻のお客さんにご参加いただきました。
霧訪山には何度も登っているお客さんなので、当然ではありますが山を知ってもらうと言うだけでは足りず、+αの期待にどう応えるかが自分的なテーマです。
ちょっとした読図の基礎なんかも(保険的に)話しながら、大量のカタクリと多様な花々に恵まれ、更なる霧訪山の魅力を見つけていただけたように感じています。
地元の山を今までよりも少し好きになっていただけていれば幸いですね。ご参加ありがとうございました。
写真はその日の山頂のオキナグサ。
霧訪山・安全登山コース設定
花登山の次に設定した安全登山講習、ビバークはさておき地図を読むのにもう少し学びをプラスしたいなと思い、周辺地形図を眺めていると…おっ。ここ良さそう、という尾根を発見。
さっそく下見に行ってきました。
ストイックに下見に徹すればいいものを、どうしてもあっちこっち行ってみたくなる。
小野駅からとりあえず弥彦神社&小野神社へ。
ここの境内は県の天然記念物になっています。
ニリンソウ、ヤマブキなどが良い時期。ミズバショウは葉っぱが成長中でした。
杉の木の陰にスミレ。ヒカゲスミレです。
日本のスミレは種で60種、細分化された品種まで見ると全部で220種あり見分けるのもなかなか大変。
分からないスミレを判別する遊びをする場合、上の写真のように花の正面(もうちょっと下から撮れればなお良し)、
こんな感じで距(キョ:後ろに突き出した丸いところ)と花柄が映るように側面から、
あと葉っぱ(できれば裏面も)の3つだけでも近めで撮っておくと後で調べやすいと思います。
でも一番いいのは図鑑を持ち歩いて現地で見比べることです。
そんな自然の楽しみ方もぜひぜひ。
神社を後にして、畑の広がる気持ちのいい道を山の方へ。
サクラと青空、農作業で起こる匂いと音。山もいいけど里もいいですね。さいこー。
いやいや今日は遊びじゃない。いざ読図コース設定。
最もメジャーなかっとりコースですが、読図の基本中の基本である等高線について学ぶのであればなかなか秀逸。
ここはこれで良しと。
かっとりコースを登り切ると大展望!
今日は(左)槍穂高連峰~後立山連峰の奥、白馬(右)まではっきり見えてます。
松本の街の遥か奥に雨飾山、高妻山、妙高山などの北信の山々も良く見えています。
さぁここからが今日のお仕事。
このように道標は新しいけど、期待するのは「ある程度踏み跡が薄めであること」。
雰囲気が大事ですから。
えぼしという隣のピークに向かいます。
ちなみにえぼしまでは日本の中央分水嶺です。
えぼし到着、想像通りの良い学びができそうな尾根ルートでした。
ここからカクっと北へ進路変更、コンパスもちょうどいい感じに練習できそう。
基礎的な学びとしてはかなり秀逸なんじゃない?と手ごたえ十分。
マキノスミレ。紫背菫(シハイスミレ)の変種なので葉の裏はやはり紫で、葉っぱが垂直に立ち、花が葉よりも下で咲く。
という特徴をよーく表わしています。
煌めくリョウブの新芽。
陽が当たるとキラキラした物体が宙に浮いているよう。
葉が伸びる前のこの時期だけの景色です。もう少し西日傾くとなお良いんですよね。
小沢峠に到着。
ここまでの間でビバーク講習の適地も発見。麓よりも山中の方が雰囲気出ますからここでやることに変更。
読図で使った脳を休ませるのにもちょうどいいかなと。
小沢峠からははじめて沢地形を歩きます。
沢地形よりも尾根地形の学びをメインにしたルートですが、ちょっと沢地形も欲しいので、これもばっちり。
足元にはフイリシハイスミレ。
この辺りには極々当たり前にありますが関東地方では希少種。
葉っぱがどさっと。ちょっとマキノスミレの特徴も持っているような気もします。
このように両者の中間的な個体もあるので、あまり拘らずにフイリシハイスミレとマキノスミレの間。で良しとすることも大事。
葉っぱの裏はちゃんと紫色です。
ヒトリシズカがにぎやかで目立ちます。
これではシチニンニギヤカです。
という上げ足とりもできそうですが、実は的外れ。花穂が二本出るフタリシズカに対するヒトリと思えば納得です。シズカも静御前から来ているので、賑やかさとは関係なし。
かと言ってつっこみたくなるネーミングもたくさんありますよね、命名は所詮(悪い意味ではなく)人間がやっていることなので。
そんな面倒なことを考えていると突然舗装路が現れて、山歩きは終了。
小沢峠口という登山口の名前だったようです。
ここから舗装路を歩いて家まで帰ります。
約一時間のこの道が毎度の楽しみ。
ヤマブキが良い時期です。
街路樹のハナミズキも咲き揃ってきました。
実りある下見でした、いいルート設定ができそうです。
霧訪山・安全登山講習
で、当日。
ビバークは道具をみてもらうことと、心構え、ツエルトの設営をやりました。
なんだかんだでいざビバークになったら道具が左右する部分が大きいし、気持ちの持ち様で行動や疲労も大きく変わります。
つまり、とにかく持ち物と心の準備。
小手先の技術よりもそんなことを伝えるべく、お話させてもらいました。
ツエルトを張ったら下がフカフカの落ち葉。
もちろん遭難はダメだけどこれなら良いビバークになりそうっていう快適空間を作れました。
霧訪山・花登山2
安全登山の翌々日は花登山の第二回。
前回から一週間も経っていませんが、その時見られなかった花が。
春の竜胆、フデリンドウ。
新潟で飽きるほど見たトキワイカリソウのお仲間。
イカリソウ。きれいな花です。
これは参りました。なんだか分からない。
この葉っぱなに?
ヒトツバエゾスミレが条件的には合うけど、群馬の鳴神山(981m)にもあるって言うから、ここでも有りか?
長野では八方尾根ぐらいにしかないらしく、ネットでも霧訪山にあったって記述は見当たらず…。
側弁は有毛。
小苞葉は花柄の中間~下部。
地上茎はありません。
この葉っぱ…??
でもガイド中なんでこの辺で。
謎を謎のままにするのも嫌いじゃない性格なので。
この日の山頂からの景色はほんとに最高でした。
これは印象良くなりますよね。
紹介(自慢?)はしたいけど、あんまり大人数では来ないで欲しい。踏圧のレベルが少人数とは絶対違うし、どう注意しても山が荒れるので。
こんな活動しながら矛盾のようだけど、来るならぜひ少人数で来て欲しいです。
ここでは完全スルーしましたが、大芝山のカタクリもかなりいい感じでした。
山頂で大切に守られているオキナグサ。
ようやくちょっとましなショットで撮れました。青空のおかげです。
もうかなり後半に入ってきたイワウチワ。あと数日で終わります、入れ違いのようにミツバツツジが咲きはじめたが印象的でした。
山ノ神自然園に下山します。
自然園入口のミズバショウ、ぐんぐん成長中。1mぐらいにはなりましたね。
ご新規さんだと他にレンプクソウ、マムシグサなども見られました。
ドはまりしている霧訪山で何かできないかなと考え、とりあえず合計4回企画をやらせていただきました。
結局この山のポテンシャルに自分自身が驚くばかり。
深堀りしていけばこういう魅力ってどこの山でも隠れているんだろうか?なんて思うと、いままでの山との関わり方も見直したくなる気さえします。
山小屋勤務の時に感じたことだけど、同じところに通って何度も似たような景色を見る事って、通うからこその気付きがあって自然の変化を見つけることの楽しさってなぜか他には代え難い幸福感がある。
ベストの時期だけを狙ってあちこちいくことの楽しさを遥かに凌駕するような気がしています(これは完全に僕の主観)。
「いい時期だからいかなきゃ勿体ない」はどうしてもそこに義務感が含まれてしまう。そして期待のハードルが自ずと高くなる。
「いつものこのルート、今日は何があるかな?」は主体性が強い。で、期待のハードルはわりかし低め。相対的に満足度は高めになる。
そういう差なのかな、とか考えたり(これも当然僕の主観です)。
最初に霧訪山のブログを書いた時に「通うことになりそう」みたいなことを書きましたけど本当にそうなってるなー今のところ想像越してきてんなーというのがなんだか嬉しくて仕方ない。そんな心情です。
どうでもいいこと書きましたが、とにかくこんな山が近所にあることに感謝しています。
そしてこれ書き終えたら、明日にはまた霧訪山を登っていたりして。
the花登山【5/8-9 花の島・佐渡ヶ島(大佐渡山脈縦走)】まだまだ募集中です!!
ぜひぜひご参加ご検討下さい。
【6/12-13 槍穂高の展望台・蝶ヶ岳】こちらも募集中です。
”はじめてのテント泊”をテーマにした企画です。
装備に関してはどうしてもの場合はご相談下さい。けっこうレンタル品揃ってます。