4月の里山いろいろ
4月の中旬から下旬にかけては新潟の低山と霧訪山に通う日々でした。意図せず完全に里山登山家、里山ガイドになってます。
弥彦山
まさかの先週に引き続き新潟の弥彦にやってきました。
ありがたいことに今週はガイドの仕事です。
燕三条でお客さんと合流していざ弥彦山へ。
さて、今日はどんな花が見られるかな?
一週間での変化も見られそうで個人的にも楽しみです。
キクバオウレンは立派な実をつけていました。
花は既に見当たりませんでした。
お!シラネアオイ発見。
サンカヨウ?ですよね。
稜線まで上り詰めると展望が開けます。
ちょっと曇りがち。
これも先週は見たかどうか?センボンヤリが咲いていました。
これは春花で秋にも花をつけます。
春の花では他家受粉を試み、秋花では自家受粉をします。
つまり秋は閉鎖花をつけるので、こんな姿ではありません。
その秋花の姿が槍のように見え、千本槍の名がついています。
ちなみに、この画像のような状態を閉鎖花の対義語で開放花といいます。当たり前のことを言いますが、普通「花が咲いている」というとこの状態を言います。
今シーズン初のイワカガミ。どうも花の数が多そうだから日本海側に咲くオオイワカガミかな?
葉も立派でした。
エゾユズリハには蕾がついていました。これは雄花です。
上の淡い色の葉が若葉で赤い葉柄の先の固そうな葉が古い葉。
若葉と古い葉の交代の際に若い葉に譲って散るから「譲り葉」です。
ミツバツツジも咲いていました。ちょっと遠目でしたが、このエリアだとユキグニミツバツツジでしょうか?
先週見つけることができなかったコシノカンアオイを発見。
大きくて立派な個体です。
ギフチョウはこの花の葉の裏に卵を産み、幼虫はその葉を食べて成長します。
これがその葉っぱ。こちらもデカくそしてなんだか不気味な色。
まだオオミスミソウが残っていました。針葉樹の林床ってなかなか不思議。
今日は弥彦駅から山頂(御神廟)を往復でした。
紹介した花以外にもタムシバ、コシノコバイモ、ショウジョウバカマ、フッキソウ、スミレサイシン、ミヤマカタバミなどなど先週から残っている花も数多く見られました。
坂戸山
長岡に宿泊し、お次は六日町にやってきました。駅からの景色です。
黒く見える山は坂戸山、右の雪のついた山は金城山です。少し残念な雨模様。
坂戸城跡までやってきましたが、ここのカタクリはまだでした。
残雪も思ったよりも多め。
坂戸山には2種類のエンゴサクが咲きます、こちらはエゾエンゴサク。
※もう一種類はずーっと↓の方で出てきます。
残雪のある城坂コース。ホントは下りで使おうと思ったのですが、雨で残雪の上を下るのをちょっといやらしいので登りで使いました。
道の両サイドをカタクリが彩ります。
しばらく登って街を振り返る。こんな天気にしては意外と遠くの山が見えてます。
雲が沸いたり引っ込んだりで変化が面白い。
カタクリロードを登り切ると山頂に到着です。
奥には八海山。展望があって良かった。
まだまだ雪がたくさんついて立派な風貌です。雲がまたいい感じ。
山頂を後にして薬師尾根コースで下山です。
この山の面白いのは城坂コースと薬師尾根コースで花ががらっと変わるところ。
特に薬師尾根コースはイワウチワの大群生地です。
この数です。
そして薬師尾根コースにもカタクリの群生地があります。
今日はここが一番多かった。
雨なので写真が少なめですが、この日は週末にも関わらず小雨のおかげで静かな坂戸山が楽しめました。
そして城坂コースは延々とカタクリロードでゆっくり登れて。
実は雨も最初の一時だけで、写真では伝わりませんが登山日和でした。
花が好きな登山者は、この時期の坂戸山はぜひ一度訪れて欲しいと思います。
霧訪山
4本立て続けに企画した霧訪山シリーズ。一回目の安全登山講習は既に終了。
次回初開催の霧訪山・花登山を前にさくっと開花状況チェックに来ました。
今日は当日の逆コース、山ノ神自然園から山頂を経て善知鳥峠へ抜けます。
まずは道端に大量のカキドオシ。よーくみると毛がすごい。
山ノ神自然園に入ると、ヒゲネワチガイソウが咲いていました。
花がどんどんサイクルするので、しょっちゅう来たくなります。
これもよく見るとほんとにキレイなニッコウネコノメソウ。
白い花弁のあるミヤマエンレイソウ。
おやおや?あれは…
ワサビが咲いていました。
濃い色の葉っぱと強めな白でコントラスト強めなヒトリシズカ。
セツブンソウの実も大きくなってきています。
弥彦山でも見たセンボンヤリ。
この姿がそのまんま名前になってるヤブレガサ。
カタバミの葉っぱですが、よくみるやつとはなんとなーく雰囲気が違うの分かるでしょうか?
そう、苔の森でよく見るコミヤマカタバミとも、日本海側で見るミヤマカタバミとも違う、その名もオオヤマカタバミ。
花の時期に葉が完全に展開しないのはこの種の特徴みたいですね。
あとは他のカタバミよりも下向きに咲くのが特徴らしいが、そんなことよりもこの赤紫の条(花弁にある筋)の美しさ。
分布としては、関東、中部、四国、九州(全部で13都県)に点在となっています。全ての都県で絶滅危惧種(準~Ⅰ類)に指定されています。
ちなみに長野県と栃木県だけ準絶滅危惧で、あとはⅠ類かⅡ類です。
こんな花まであるなんて霧訪山はすごい。
※参考
・絶滅危惧Ⅰ類→絶滅の危機に瀕している種
・絶滅危惧Ⅱ類→絶滅の危険が増大している種
・準絶滅危惧→現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
黄色の華鬘(ケマン)。華鬘とは仏堂で用いられる荘厳具(飾り)の一種らしいです。
この種はその華鬘を全然体現していませんが、仲間のケマンソウがその華鬘に似ているようです。ケマンソウって見たことあるかな?
ちなみに、この仲間はどれも毒草なのでご注意を。
紫の華鬘。こちらも同じく毒に注意。
全草にプロトピンを含み、心臓麻痺などを引き起こすそうです。
山頂付近まで登ると、葉に斑の入ったシハイスミレ。右側の葉っぱの裏が紫なの分かりますか?
葉の裏(背)が紫なので紫背(シハイ)です。
霧訪山山頂を往復してカタクリ山の大芝山方面へ向かいます。
大芝山のカタクリは順調に咲いていて一安心。でもまだまだ開花の年齢に達していない個体が多そうだなー。
こちらはシハイスミレの変種、マキノスミレ。
この花は霧訪山に多いですね。
実に歩きやすい分水嶺コースをのんびりと下り善知鳥峠に到着。
最後の花はミツバツチグリでした。
ここから試しにどんな距離か小野駅まで伊那街道を歩いて見ました。距離は大したことないけど、車の交通量が多すぎて歩くには適してない道でした。
これで花登山の準備はOK。当日が楽しみです。
再訪!坂戸山
プライベートガイドのご依頼をいただき、再び坂戸山にやってきました。
今回はこの天気!
↑前回は写真が無くて紹介できなかった坂戸山のもうひとつのエンゴサク、その名もミチノクエンゴサク(陸奥延胡索)。
か細い小さい花が特徴。
まだ雪解け直後の坂戸山ではショウジョウバカマがたくさん見られます。
仏像のことは良く分かりませんが、座り方的には如意輪観音?でしょうか、ほぼ装備品なしで顔もリラックスしているように感じます。
今日は天気も良いので前回は下山に使った薬師尾根コースから登ります。
まずは先日も見たカタクリの群落がお出迎え!
今日はしっかりと開いてます。
そして薬師尾根コースと言えばこれ、イワウチワ。とにかく延々と続きます。
いい色ですね。
同じピンクですが、こちらはイワナシ。落ち葉に埋もれるほど小さいですが、一応草ではなく木です。
あっという間に山頂がすぐそばに。とにかく道沿いが花花花なので次へ次へと追っていると自然に登ってしまっています。
ガンガン登るとちょっと暑いぐらいの気候ですので、花を見ながらのんびり登るのが正解。
タムシバがこれでもかと咲き誇っています。
目立たないけどマンサクも青空に映える。
急な傾斜がいったん弱まると…金城山が間近に!
花弁の色が薄いですがタチツボスミレです。晴れてるとどれも元気そうに見える。
山頂直下の階段付近にキジムシロ。さぁ山頂の展望が楽しみです。
登り切るとまずはお堂が。
広い山頂には八海山をバックに山名板がセットされてます。
せっかくなのでグルリと周囲の山々を。
北東方面には守門岳。
(画像左右の < > を押すと山名が出ます)
東北東方面には八海山(薬師~大日~入道)や中ノ岳、あとは利根川源頭の山である大水上山。
(画像左右の < > を押すと山名が出ます)
東南東方面。あんまり知らない山々(すいません…)、積雪量はかなりありそう。
(画像左右の < > を押すと山名が出ます)
南東方面。わずかに巻機山、そしてドでかく金城山。
(画像左右の < > を押すと山名が出ます)
南方面。もっと右に立てばたぶん見えたのに、谷川岳はわずかに見切れてしまった。仙ノ倉や平標といった上越国境の山々。
(画像左右の < > を押すと山名が出ます)
南西方面。薬師尾根を登っている時にすでに良く見えているのはこの苗場山です。
(画像左右の < > を押すと山名が出ます)
ゆっくり休憩し展望も満喫したので今度は城坂コースで下山です。
柄が目立つアブラチャン。花がそっくりなダンコウバイはこの柄が無い。
キクザキイチゲと似ているアズマイチゲ。この山には両方咲くので見分けを学ぶいいチャンス。
これはアズマイチゲです。
まずはこの葉っぱ、深い切れ込みがないですね。
これもアズマイチゲです。
花の中心(雄しべの根元)が黒っぽく(本当は濃い紫色)見えますよね。
これがアズマイチゲの特徴で見分けの最も簡単なポイント。
こちらがキクザキイチゲ。
葉っぱにたくさんの深い切れ込みがあるのが分かりますね。
そして花の中心が黒っぽく見えないですよね。
こちらもキクザキイチゲ。
このように萼片(花びらっぽいところ)がたとえうすーくでも青を帯びていればキクザキイチゲです。
下の写真のように真っ白な場合は見分けが必要ですので、その時は是非花の中心の色を見てみて下さい。
【参考】キクザキイチゲ
以前に坂戸山で撮った写真です。
下ってきた道を振り返る。
まだまだ場所によってはこんなにどっさり雪があります。
雪の上に乗らなければいけないところはそんなに多くありませんので、アイゼン等は不要でした。
城坂コースを下りきり、麓の駐車場に下山です。
義となり 愛となり。直江兼続に絡めた坂戸山の詩がありました。
駅までの帰り道、時間があったので桜が咲く銭淵公園によって見ました。
桜も良かったですが、一番きれいだったのはこのブナの新緑。
駅まで戻ってきましたー。
駅の階段には「お松っぁまの池」という民話が8枚のパネルになって掲出されています。
雪国の辛さを表した悲しいお話。
駅を挟んで坂戸山とは反対側にお松の池までのハイキングコースがあるようなので今度行ってみようと思います。
ホントに花だらけの良い一日でした。
こんなに新潟と長野を往復することになるとは自分でも思っていませんでした。
ただ、移動時間が多かったおかげで久々にたくさん本を読むことができました(皮肉ではありません)。
山歩きもいいですが、やっぱり人を作るのは読書ですね。
長くなったので、次回につづく