弥彦山
角田山の余韻も冷めやらぬまま、弥彦にやってきました。それにしてもすごい駅舎。
駅から徒歩で山に向かいます。
登山口まで乗り物で直行も楽でいいけど、最近は山に向かうアプローチがなんか好きです。
大人もとび出しちゃうのか。
満開!!帰りに寄ろう。
街を抜け、山麓に入るとこの雰囲気。気持ちが山モードに整ってきます。
足元には角田山でも見た日本海要素のスミレ、スミレサイシン。
登山口にある茶屋を通り過ぎると登りがはじまりました。
しばらく登ると、越の文字の着く花を発見!
コシノコバイモ(越の小貝母)です。
越の は越州のと言う意味。小は小さい。
貝母というのは、球根が割れて中から新たな球根が出てくるときに、割れた球根(母)の鱗片が開いた貝のように見える様から命名されたようです。
越の他にも甲斐、美濃、阿波、土佐、出雲と地域によっていろいろなコバイモがあり、どれも希少な種になっています。
お仲間で有名なところだとクロユリですね。
別名ニオイコブシ。素晴らしい香りです。
ショウジョウバカマは今日もフィーバー。
お祭り状態です。
ここが雪国である証明。テングスミレ(ナガハシスミレ)。
実はこの花に蜜を吸いにくる虫はいないんだとか…距が長すぎたんじゃないの?でも一体どうしてそんな進化を…。
でも生き残っているのだからこれでいいのでしょう。
ふたたび、スミレサイシン。ピント合っていませんが、奥の葉っぱが表面側に巻いているのが分かるでしょうか。
若い葉はこのように内巻きするのもスミレサイシンの特徴のひとつです。
御神水がバーバー出てます。七合目まで上がってきました。
一瞬花色に、お!っと思いますが、これもスミレサイシン。
こちらも同じく。
弥彦山の主稜線に出ました!海が見えたー!
※2個下に蝶の写真があります。苦手な人はサッと通り過ぎて下さい。
ここまで赤を登ってきました。
今日は緑の道をぐるりと回ります、一旦下って別の登山道で登り返し。その名も”弥彦山花のトレイル”。
※すぐ下に蝶の写真があります。苦手な人はサッと通り過ぎて下さい。
日本固有の蝶で、個体数が激減しているギフチョウがわりと頻繁に見られました。
この色彩からギフチョウと名がつく前は錦蝶と呼ばれていたようです。
山頂に到着しました。デカイ岩にシンプルに彌彦山!
御神廟とは祭神を祀る廟、奥宮のことです。
こちらの御祭神アマノカゴヤマノミコト(天香山命)は、711年に神武天皇の命で越の国に上陸し、海水から塩をとることや、網を使った漁業を住民に教えたとのこと。なんだか素朴な神様ですね。
いまも越後では「おやひこさま」と親しまれているようです。
御神廟を後にして先に進みます。
いい色のキクザキイチゲ。
花びら(萼片)が多めのキクザキイチゲ。大体10枚前後を多いようですが、これは12枚。
もっと多いのも。これは17枚。こうなると当然ながら花びらの数で種の同定はできませんね。
山頂付近のアブラチャンは今が最盛期。花の開花のタイミングは塩尻と似ているように感じます。
ジンチョウゲの仲間、ナニワズ。あのナニワ金融道の浪速?なんでしょう?
道にはみ出すほどカタクリが咲いています。
今日イチのベストショット!
桜の咲く気持ちの良い陽だまり。気が緩みます。
ここまで結構な急勾配で、ここで一旦ゆるくなりましたが、最後に恐ろしいくらい等高線が詰まっている箇所があります。
読図を少し学んだ人は知っている、尾根の末端の急勾配です。
気を引き締めなおしていきます。
角田山でも見なかったアカネスミレが登場。
標高200mを切るとヤブツバキが現れました。まもなく八枚沢登山口に着きます。
滝を横目に階段を降りると、車が数台停まっている八枚沢登山口でした。
なんかのテレビで新潟の人の心のお菓子はポッポ焼きと聞きました。スーパーにあったので行動食に買ってみました。
けっこう好きな味。Y社のあくまで"風"ですけど。
少し休んだら別の尾根に取り付いて登山再開。ヤブツバキロードを行く。
おー。山頂が見えました。右の尾根を降りてきて、これから左の尾根から登ります。
登山口からなかなかの急登を登ってなだらかになるとまたしてもカタクリロード。ほんといい山。
青空に映えるカタクリ。
ではここからカタクリの花から実への移り変わりを見ていただきます。
どうぞ!
原形は残していますが、もう終わりの感じ出てますね…
ますますしょぼんですね。
花びらが脱落をはじめました。おや?なんだか枝豆みたいなのが覗いています。
朽ちていく花びらと雄しべ。それに緑の豆はますます露出。
もう花びらは往時の面影無く、豆が軽く羽織っているような感じ。
羽織物を脱ぎ捨てるとつるっとした実がお目見え。
雌しべが立派に残っていますが、これもじきにしょぼんとなって花びらや雄しべ同様に融けていきます。
そしてここから実がどんどん成長し、蟻が好む物質がついた種子を撒いて運ばせ、エリアを拡大していきます。
その種子が根付き花が咲くまでに7~8年かかると言うんだから気の長い話です。
おしまい
雑草にも目を向けましょう。
田畑の畔にいくらでもあるハコベでした。誰かしらの靴底に引っ付いてよくぞここまで来られました。
久々に見るとでかい…!イチリンソウです。
ちなみにニリンソウは一輪から五輪ぐらいまでありますが、イチリンソウは確実に一輪です。サンリンソウは一輪や二輪もあります。
花の名前は
「名は体を表す」じゃなくて
「名は体のとある姿を表すときもあるけども全然違う時もある」
ぐらいに思って下さい。
白から一転、黄金に輝く花が。
総苞片が反り返っていないので、和製のタンポポです。図鑑で同定しエゾタンポポと確定。
春の竜胆(りんどう)、フデリンドウが咲いていました。天気がいいとこのように目いっぱい開きます。
オオカメノキも咲いていました。まだ葉が小さい小亀。
この辺が清水平でしょうか。この辺りもカタクリがすごい。
真正面からキリっと男前なカタクリ。
春ですねー。
上を見上げるとマンサクがわずかに残ってました。
気持ちよさげに飛ぶハンググライダーも。
カタクリの中に見慣れない白い花…おやおや?
レアものの白いカタクリでした!
山頂周辺に戻ってきました。
おいおい。こんなゆるいフォントある?
古い道標。
左 御神廟
右 十寳山
多宝山(たほうざん)のことかな?
なんか昭和的風景だなぁ。
漂う昭和感。
山頂周辺のレトロ空間を堪能し、さて下山です。
フッキソウのフッキとは富貴と書き、お金持ちで地位も高いことを言います。
常緑(一年中緑色)なので枯れることなく繁る(繫栄する)ことをなぞらえてそう名付けられたようです。
あまり見ない配色!
ほぼ白に雄しべの先端(葯といいます)だけ紫。高貴ですね。
改めて登りで見た花々を見ながら下ります。
独特な配色ですね。綺麗なんだか汚いんだか。
最後にミヤマカタバミ。
葉っぱはこんな感じ。
麓まで下りてきましたー。
おや?
道標の頭の上に小さな世界が展開していました。
すぐそばの鳥居をくぐって下山です。
充実の山歩きをありがとうございます。彌彦神社にご挨拶。
この後、桜満開の弥彦公園を通って帰路につきました。
角田山と弥彦山。充実の春の花の登山でした。
主に太平洋側で生活し、主に関東周辺の山々を歩いてきた自分にとって日本海要素植物はなかなか魅力的で、春にどうしても足が向くのは新潟の山。
短いこの時期だけ!というのも引き付けるものがありますね。
これよりももう少しコンパクトにハンパじゃないカタクリの群落が見れる
同じく新潟の里山・坂戸山の企画は今週末開催です。
東京からの日帰りも楽々可能な山歩きです。
その後は the花登山【5/8-9 花の島・佐渡ヶ島(大佐渡山脈縦走)】も開催を控えています。
ぜひぜひご参加ご検討のほどよろしくお願い致します!