角田山
花の山新潟代表・角田山を歩いてきました。
JR巻駅からバスで じょんのび館 に向かいそこから歩きます。
施設の裏側に回ると桜が満開。
林道を西へ。
今日の第一野草はアオキでした、木本だけど。
お次はエンレイソウ。漢字で書くと延齢草、胃腸の薬になるとかならないとか。
まさかの連続茶色花。
2度あることは3度のある。3度目の正直。阿呆の3杯汁。
ということは、次も…。
白でした。それも一点の曇りもないほど白でした。
見事なニリンソウ。
あんまり知られていない別名は「鵞掌草(がしょうそう)」
ガチョウの手のひらのような葉を持つ草
という意味です。
モミジのような葉っぱを持つイチゴ、その名もモミジイチゴ。
オレンジ色の果実は野の実では最高クラスの美味。
(自分的に)見つけて嬉しい実の王者をサルナシと激しく競い現在僅差で2位。
アマドコロの赤ちゃんがなっていました。
食べられる系が3つ続きました。ということは次も…
うっ!カンスゲは食べません。
※カンスゲは同定が難しいです。やや小型で花が目立ったのでキャプションはヒメカンスゲとしましたが、確実ではありません。
この葉は…タカオスミレでよろしいでしょうか。
まぁそうっぽいですね。高尾山で最初に発見された品種です。
スミレ界のthe日本海。スミレサイシン。
高尾山には咲きません。
スミレ界のthe雪国。ナガハシスミレ。
見よ、この距を!!
別名テングスミレ。そのまんま。
こちらも高尾山には咲きません。
※距(きょ)とは花弁の後ろに突き出た筒のような部位のことです。この中に蜜が入ってます。
斜面を覆うニリンソウ。
駐車場が見えてきましたので、充実の林道歩きもこれで終了。
五ケ峠コースからいざ入山。
「雪割草」と書いてあるのはオオミスミソウのことです。こちらの一般的な呼称はほぼ雪割草で統一されているようです。
よっぽど採る人がいたんでしょうね。今もいるのかな?
しばらく登ると海が見えました。遠くには…
佐渡!小佐渡の奥に大佐渡山脈が。早く行きたい。
角田山で紹介するような花ではないような気もしますが、ハウチワカエデの花。
これが葉。主役になる秋までがんばれ。
どっさり咲いてたトキワイカリソウ。
イカリは船で使う錨であることは分かりますね。トキワは常磐で葉が常緑であることから トキワ イカリソウ です。
綺麗な花ですが、あんまりにもあり過ぎて飽きた。
これこれー。カタクリ。
あるね、あるね。
分かり辛いですがずーっと奥までカタクリ。
カタクリの群落に大体セットで咲くのはキクザキイチゲ。
白が基本色ですが、
こんな色も。佐渡の小木ではヨメナカセ(嫁泣かせ)という別名も。
早春の短い期間にのみ咲く正にスプリング・エフェメラル。
ミヤマハコベ。10枚に見える花弁はV字×5枚。
小さい小さい花もよく見るとなかなか綺麗。
「香の森」をついAmazonでクリックしてしまいそうな衝動を抑えつつ、じわりと歩みを進めると、あ、なだらかな山頂稜線に出ました。
ここから山頂付近一帯を含めた広いエリアはなだらかでのんびり花鑑賞に適した地形。
山頂稜線に出た直後にショウジョウバカマ登場。
カタクリも。カタクリの単品写真って撮るの難しいですよね、正解が分かりません。他の花も全然正解ではないかも知れませんが…。
はい!!
力をつくして登頂!!!
だだっ広い山頂の海側のベンチで軽く食事をして、力をつくして下山にかかります。
下山開始、直後。おや?この時期にこの感じはあれか。
山頂部でこの状態ではこの先見込みないかな。
※次回のブログでこれが何の実か分かります。
五ケ峠コースの最序盤(写真撮る間もなく通り過ぎた)以来のオオミスミソウ。
北斜面に入って急に現れた。
春の蘭。登場。
アップにするとなかなかグロテスクであります。
ここからはショウジョウバカマの多様な色をお楽しみください。
まずはよくあるピンク色。パワーに溢れていますね。
黄色に赤系のシベ。ちょっとお疲れですかね。
白い!これもパワフルな状態。
ちょっと緑系。しょぼん。
これが名前の由来の猩々(しょうじょう)の頭の色。
猩々とは毛の赤い想像上の生き物です。
"袴"はロゼット状の葉っぱの形状が袴に見えるから。
それで 猩々袴。
次郎坊、山、蝦夷などのエンゴサク軍団で一番小柄なミチノク(陸奥)エンゴサクです。
見ての通り色も淡く清楚な感じ。
東北に多いので陸奥と言うそうです。
ちなみに"エンゴサク"はこれの根っこを干した漢方薬を「延胡索」というところから来ています。
あらあらこんな花も。
凛としたニリンソウ。
ひっそり感がいい味出してます。
よく亜高山帯の苔の森で見かけるコミヤマカタバミから「コ」を引いたミヤマカタバミ。小ではなくなったので大きいです。
都会の街中でもよく似た仲間、濃いピンク色のイモカタバミが見られますよね。
葉っぱの形を覚えて探して見て下さい。ハート型が3つ集まった形です。
歩きやすいトレイルが続きます。
だんだんと海が近づいてきました。あそこまで降りると下山です。
終盤となるこの辺りからオオミスミソウのラッシュでした。
これがオオミスミソウの葉っぱ。
ミスミソウは三角草と書きます。
ほんとそのまんまで葉っぱが△なんですね。
オオは太平洋側のものに比べて花が大きいことから。
そして太平洋側のミスミソウに比べて、花の色とシベの色が多様。
それではいろいろなオオミスミソウをどうぞ。
補色を上手く使ってやがる。
いい感じです。
個人的に好きなパターン。
大人な雰囲気。
萼片(花びら状のとこ)の縁取りとシベの赤紫の濃さが豪華な感じ。
以上です。もっといろいろあったけどしつこくなるのでこの辺で。
それに比べると地味なヒトリシズカ。嫌いじゃない。
ミスミソウを見た後だと素朴に感じるこんな花や。
どこにでもありそうなこんな花や。
雑草と呼ばれるこんな花も、よーくみるととても美しいので是非是非山に出かけた際は気にかけて見てみて下さい。
おそらく所有者の方からのなかなか強烈なメッセージ。ただごもっともなことです。
少し長くなりますが大切なことですので説明します。
この山は「国定公園」と登山口に表示がありました、それなら国の土地、国の山なんでしょ?国民みんなのものでしょ?と思う方もいるかも知れませんが、それは違います。
国立公園にも国定公園にも所有者は必ずいます。それが国や行政(公有地)の場合もあれば企業や個人(私有地)であることも少なくありません。
"法的"にはその所有者の了解を得ないと山に入ることはできません。
欧米にあるようなアウトドアフィールドの万民利用権(国民が自由に自然を利用できる権利)は日本にはありません。
つまり日本における登山という行為は「勝手に人の土地に入って」行う遊びなのです。
ちなみにですが私有地に限らず公有地においても勝手に入って良いという言い分は"法的に"通用しません。
ではなぜそのような了解を得ずに皆が山に自由に入り、登山と言う行為が行われているのか。
実は「所有者が黙認」していることではじめて成り立っているのです。
なんだかあいまいな話だなぁと感じるかも知れませんが、それが日本の山、登山、登山道の実状です。
正当な理由があれば所有者は簡単にその黙認を解き、山、登山道への立ち入りを禁止することが可能です。
この注意書きにあるように「植生を荒らす行為を防ぐ」ことは十分に正当な理由になり得るでしょう。
ですので、この注意書きは所有者からの正当な「お願い」なわけで、当然守れない人間は山に入るべきではありませんし、誰かが守れなければ入山ができなくなっても全然不思議ではないのです。
つまり「自然はみんなのもの、自由だろ」という理論は今の日本では通用しません。
健康維持やスポーツとしての利用、景色や花を見て楽しむ気持ちはもちろん大切ですが、山に入る人にはぜひそういうことも知っておいて欲しいと思います。
今の日本に足りていない自然に親しむ文化、アウトドア活動の発展の為にもまずは登山者ひとりひとりが実情を知ることが大切だと思います。
すいません。本当に長くなってしまいました。
下山後、バスで巻駅へ戻りました。
今日は燕三条に移動して一泊、明日はこれまた花の名山・弥彦山へ登ります。
花の名山で名高い角田山、期待大で山に入りました。
前半はちょっとあれ?って感じでしたが、後半のミスミソウラッシュで結果的に満足度高めでした。
今年は雪解けが早く、時期的に少し遅れたかな?と思いましたが、コース選びも含めてまぁまぁ良かったんじゃないでしょうか。
ただ、カタクリとオオミスミソウのピークは過ぎていたと思います。
日当たりや雪解け(冬の間の積雪量)も花の開花時期に大きく影響するかと思いますので、どの時期にどのコース取りをするかの判断はなかなか難しそうですね。
来年また、どピークを狙って訪れてみたいと思います。