※お詫び
以前この記事の中で富士塚の前の広場を「キャンプ場」と記載しておりましたが、この広場は実際にはキャンプ場ではありませんでした。熊の出没なども危惧されますのでくれぐれもキャンプ場として利用されないようご注意下さい。
誤った情報を載せてしまい大変申し訳ありませんでした。関係者の皆さま大変ご迷惑をおかけ致しました。
塩尻の名峰・霧訪山
午後から下り坂の天気予報、それにしてはなんかいい気候なので、ふらりと塩尻の名峰・霧訪山に登ってきました。
電車で1駅10分。JR中央本線・辰野支線の小野駅に到着。
ここから歩きます。
駅から登山口へ、通りに出ると大鳥居がお出迎え。
道中、こんな看板を発見!
今度来ます。
街を離れて山に近づくと足元には美しい雑草が。
これはホトケノザ。
葉が仏の座する蓮花のような形をしていますね。
鮮やかなピンクの花は目を引きます。
ちなみに春の七草の"ほとけのざ"はこれとは別の草です。
雑草界の宝石。オオイヌノフグリ。
日本原産のイヌノフグリは明治期にヨーロッパからやってきたこやつに駆逐されて希少になってしまいました。
英名は「キャッツ・アイ」
学名は「ベロニカ」
鮮やかな青が花の季節のはじまりを感じさせてくれます。
霧訪山に向かう直線。この道端で十分楽しめます。
よく見ると雑草界、いや、植物界の小さな大スターが。
学名は Stellaria media
名前にStella(ラテン語で星)が入っています。
四辻善成によって歌われた春の七草の"はこべら"はこちらのハコベのことです。
こちらはイヌナズナ。ナズナとは違って春の七草選外です。
したがって美味しくもありません。
更に属もナズナと違います。
イヌは漢字だと「犬」ですが意味的には「否」です。
つまりナズナではない。という名前の草花です。
黄色は春の色ですね。
いったん雑草から離れてクロッカス。
ここまでの雑草軍団とのミスマッチがすごい。
この紫のクロッカス・ヴェルヌスはヨーロッパアルプスの麓に自生している種らしい。
世界の名峰アイガーにも塩尻の名峰霧訪山にもクロッカス。
福寿草!the春の花。春の色。
かつての名前は「福告げ草」。
やはり寒い地域にとっては春=福だったのでしょうね。
更に登山口に近づくと富士塚がありました。木花咲耶姫が祀られています。
ここで60年に一度(庚申の年)村を挙げての盛大な祭典が行われるらしい。前回が1980年ですので次回は2040年となります。
富士塚の目の前は広場になっています。
※こちらの広場はキャンプ場ではありません。
その広場に隣接して鳥居がありそれをくぐると2つの社と1つの石碑が祀られていました。
左から 蚕玉様・天神様・山倉大六天様 。
蚕玉は「こだま」と読みます。こだま様は繭の豊作を祈願して祀られた神、おかいこ様です。
これがあるエリアはかつて養蚕が盛んだったことを示します。
天神は言わずと知れた菅原道真のこと。ちなみに日本三大天神は三大と言いつつ全国に11も挙げられているそうです。3より多いのって「日本三大あるある」だけど11は異常事態。それだけ人気のある神様ということでしょうか。
山倉大六天はいわゆる魔王のこと、織田信長が署名したと言われる第六天魔王と同じ意味です。
日蓮としては修行僧を邪魔する魔だが、純粋な法華経信者には味方をするものとして、邪魔するものに負けず一途に信仰を貫くよう教えたといいます。
富士塚と天神様のある広場を後にして登山口までやってきました。なんの変哲もない里山の風景。
なんだかんだでこういう景色が一番落ち着いてしまう自分がいます。
立派な登山口の道標。あんまり見ない「入口」っていいですね。
お邪魔します。
登山口周辺の樹木はカラマツが主です。
これを追っていくのか。標高ではなく距離ですね。
ご多分に漏れず、この地にも御嶽講があった証。
1811年に建てられた石碑とのこと。
今日は御嶽山は見えるかな?天気は下り坂。
かっとり?不思議な名前。
今は送電線の鉄塔が建っており城跡の面影は薄いですが、良くみれば土塁などの遺構が見られるとのこと、今日のところはサッと通過。
この周辺の山々は茸山が多くこのような表示と登山道以外に入らないようにロープがずーっと張っていることが多いです。
もちろん時期に限らず立ち入りは禁止です。
また、標高の高い低いや街との距離などに限らず、山に入ったらクマとの遭遇はゼロ%ということはありません。出会った時の心構えだけはしておきましょう。
紅葉をあしらった道標。今日は左の「現登山道」で山頂へ。
道中には避難小屋もあります。また、登山道沿いには展望の良いところにベンチがあってとてもしっかりと整備された登山道です。
何個目かのベンチより北側を見るとぼんやりと浮かぶのは鹿島槍ヶ岳。
その次のベンチから。だいぶ雪解けが進んでいる様子。
山頂に到着しました!1305m霧訪山です。
登山口から普通に歩いて1時間弱でした。
さてさて展望は。
登り切った正面方向には槍穂高連峰。
左の白く光っているのは霞沢岳。
八ヶ岳方面は美ヶ原から編笠山まで良く見えています。
北側は雲多め。白馬や北信の山々が見えるはず。
他にも南アルプスの甲斐駒ヶ岳~北岳~塩見岳あたりは良く見えていました。
中央アルプスや御嶽山は今回はだめでしたが、これから雨が降るにしては期待以上の展望でした。
下西条へ下ります。
分水嶺方面
分岐→大芝山→分水嶺
↓
下西条
とあります。
山頂から少し下ったところ。
振り返ると、登山道を挟んではっきりした植生の違い。
南(左)側がヒノキの植林・北(右)側は落葉広葉樹の林。
すぐにブナの別れという分岐に着きました。
今日は↘の山ノ神自然園方面へ。
道中こんな葉っぱが。これはまた来月来なくては。
送電線の鉄塔を通過。
ハンノキの花。こういう形を尾状花序と言い、穂とでも痛くなりますが花の集合体です。
カバノキ科の多くはこの形の花をつけます。
これはケヤマハンノキ。
こんな花です。
歩きやすい登山道をするすると下っていると北側の登山口に無事下山しました。
とのこと。
「持ち帰れるのは、持ち込まれたゴミと、楽しかった思い出だけです。」
いいですね。
里山だと様々な人が簡単に登れますので、マナー周知のためにもこういう表記が必要ですね。
たまらずの池に水がたまっていました。溜池かな?
とてもいい香りを発して咲くダンコウバイ。
盛大に咲いていました。春ですねー。
たまらずの池の畔には福寿草が…
どっさり咲いています。
同じく畔に植えられていたのはアブラチャン。
もう少しで咲くのかな。
更に林道を進むと趣きのある神社が。社殿は岩です。
更に進むとこんな表記が、全然知らなかったので嬉しい。時期もドンピシャじゃない?
ピークは越した感じでしたが咲いていました!セツブンソウです。
環境省のレッドリストで
準絶滅危惧:存続基盤が脆弱な種
とされています。
塩尻市では絶滅危惧種です。大事にしましょう。
雌蕊の淡い紫、雄蕊の濃紺と周囲を囲う黄色の点々(花弁の先端)が特徴的な春を告げる花のひとつですね。
おお!まさかの水芭蕉も!
こんな時期に咲くんですね。
途中の原っぱにはキバナノアマナが。
だんだんと里に近づいてきました。
お山のこちら側にもスターがいました。
切り株の上に大量のモンローリップ!
春の味覚も顔を出してます。
スミレも咲いていました。スミレの中でもわりと早めに咲くアオイスミレ、葉っぱの毛が特徴です。
葡萄畑が広がる里に出ました。
このまま徒歩で家まで帰ります。
こちらも春告げ花のタネツケバナ。
田芥子(たがらし)という別名があり、辛みのあるおいしい野草です。
もこもこしたヒメオドリコソウ。
ホントに小さな花なんですが、良く見るとオドリコソウと花の形が同じです。全体の形自体は全然似ていませんが…
こちらも明治期にヨーロッパからやってきた種。
↓オドリコソウ
※霧訪山で撮影した写真ではありません
シソ科の花は差こそあれ大体このような形をしていて、開いている口のように見えることから唇形花(しんけいか)と呼びます。
再度登場のこちらもシソ科の近い仲間であるホトケノザ。
中央の花の上唇になにやら「仕掛け」が見えてますね。
集落に出ました。入り口の辻に守り神。庚申塔と道祖神です。
塩尻に来て早二ヶ月、いつ行こうかいつ行こうかと先延ばしにしてた塩尻の名峰は期待を遥かに上回る山でした。