塩嶺王城ロングトレイル・鶴ヶ峰トレイル
良い天気だったので塩嶺王城ロングトレイルの鶴ヶ峰トレイルを歩いてきました。
スタート地点の岡谷駅までは自宅から徒歩と電車で15分のアプローチ。
しばらくは岡谷駅から初期中山道を進みます。
この「初期中山道」は下諏訪町から岡谷、小野峠、小野宿を通り桜沢の集落(本山宿と贄川宿の中間あたり)に至る全長約26キロのルートです。
五街道が整備されはじめた1601年から1615年ごろまではこちらが中山道の本道として利用されていたそうです。
つまり塩尻宿は当初中山道のルートでは無かったんですね。
ずいぶん案内板が新しいですが、最近設置されたのでしょうか?
こっちにいろいろありそう!城跡、遺跡、一里塚。
旧街道は一里塚を辿っていけばルートを外しません。
三沢地区に残る一里塚、江戸から数えて57里塚、228km地点です。
この木は桜でしたが、一般的には一里塚の木といえば榎(エノキ)や松、檜(ヒノキ)。
おそらく植え替えられたものだと思います。
ここで当時の旅人が休んでいたのかと思うと感慨深いものがあります。
大切にしたい文化財ですね。
雀おどりと懸魚が映えます。これをみると「信州の旧街道筋を歩いている」という良いテンションになります。
鶴峯公園という公園に立ち寄りました。
ここのツツジはかなり良さそう!5月には必ず来よう。
鶴峯公園には大きな台座の立派な銅像がありました。
岡谷に生まれ、片倉組を起こし片倉財閥の基礎を築いた 初代・片倉兼太郎翁 の銅像でした。片倉組は後に片倉工業となり20世紀半ばには世界最大の製糸企業と言われた会社です。
ちなみに諏訪の温泉施設"片倉館"は弟(のちに養嗣子)の 二代目・片倉兼太郎氏 によって開設されました。
ここにも真新しい道標が。整備していただいているのですから歩かねば。
だんだんと小野峠に近づいてきました。
道すがら大きな岩の上に小さな丸い石が乗っています。
上の丸い石をよく見ると…
顔!!下諏訪の万治の石仏のよう。
こちらにも何か名前があるのでしょうか?
整然と並ぶ森のエビフライ。
ダート道に変わると、水分を多く含んでいるのか土の隙間隙間ががちっと凍っています。土も凍っていて、あんまりにも気を抜くと滑るパターン。
日当たりのわるいところには雪が残っていました。半分凍っているので、こちらもいい加減に歩くと滑るやつ。
と、そんなじわじわした登り道をゆっくり進むと、切り通し状になった場所に到着。
ここが小野峠でした。岡谷側の呼び名は三沢峠。
右 をの(小野)
左 みさは(三沢)
とあります。さらにしっかりと「旧中山道」と刻んであります。
ここから道を左に折れて鶴ヶ峰トレイルにいざ!
トレイルヘッドはこんな感じの気持ちの良い道。
鶴ヶ峰トレイルの大半は1/25000地形図で実線表記なので、定義としては"幅1.5メートル以上3メートル未満の道"。
おおむね一般的な登山道よりも広い道を進むようです。
登山よりもロングトレイルですね。
トレイルヘッドから2,3分。いきなり展望台登場!
さて、どんな景色が待っているのか、期待大。
梁が激低な頭上注意の階段を身をかがめて登り切ると、案内板がありました。
"天気が良ければ"それ書きたくなる気持ちわかるなー。
さてさて今日は??
写真はすごーくいまいちですが…
八ヶ岳は全山バーン!諏訪湖も。
北アルプス方面は木で穂高は見えませんが、常念から白馬までドーン!
御嶽も中腹はチラッと見えましたが、山頂付近は雲がかかっていました。
展望としては十分!素晴らしいところです。
展望台を降りてすぐのところにあずまやがあったのでそこで朝食。
鮮やかな緑のヤママユの繭が落ちていました。
これは天然の繭ですので、ここから絹をとればそれはワイルドシルクですね。
登山で言う「林道」をてくてく進むとところどころにこんな表示が。
辰野サイクリング 日本のど真ん中ルート(上級者コース)とのこと。
確かにマウンテンバイクで走るのも良さそう。
夏の姿のまま枯れたツルアジサイの花(装飾花と実)。
雪の上に咲いているかのよう。
だそうです。
ここの水は諏訪湖から端を発す天竜川に流れ込み、伊那谷を進み、静岡に出て遠州灘に流れ込みます。
天竜川といえばかつては暴れ川として有名で、近年だと1961年に伊那谷に大きな被害をもたらした「三六水害」が有名。
ここはその遥か上流ですが、まずは水源林が健全であることが下流域を含めた流域全体の安全の第一歩なんですね。
森林開発公団はいまは森林整備センター。
契約期間60年ということで2038年まで、その後はどうなるのだろうか。
スリップしたのか、車が谷側に落ちかけていました。
後輪浮いてます。
路面ほとんど氷ですもんね。
場所によってはそれなりに積雪がある場所もありました。
このルートの名前にもなっているひとつのハイライト、鶴ヶ峰を示す案内が出てきました。
日本中心の展望台に到着です。
今回2つ目の展望台。このあたりが鶴ヶ峰の山頂でもあるのかな。
展望台の柱には現在地を指すこんな図が。
たしかに真ん中っぽい。
展望台へは螺旋階段を登ります。
さっそく槍穂高!右の方のとんがりが常念岳。
光って良く分かりませんが、甲斐駒~北岳~塩見岳~荒川三山~という感じでけっこう遠くまで見えています。
南アルプスです。
ずいぶん白さがなくなった八ヶ岳。
中央アルプスも良く見えています。左の方が空木岳。
今度は御嶽山もはっきりと姿を見せてくれました。
松本平が良く見えます。すごい都会だなー。
左の白い山々は後立山連峰、右にぼやっと見えるのは北信の山々でしょうか。
展望台から降りて、芝生で昼休憩。
展望台はメイントレイルから少し外れているので、来た道をトレイルの方に少し戻ると道の脇にこんな碑がありました。
「日本中心の標」
ぐるっと石碑の回りを見てみましたがなんで日本の中心かは書いていませんでした。
今日も靴は KEEN の RIDGE FLEX MID WP です。
硬めのロードもところどころ出てくるし、雪や氷の上も歩くし、落ち葉ですべるようなところもあるし、更にそれなりの長距離ですので、この歩きやすさと剛性のバランスはベストチョイスな感じ。
この靴は、こう置いて、
蹴りだすときに黄色の部分 KEEN.BELLOWS FLEX が柔軟に屈曲してくれて、無駄な抵抗がありません。
こんなふうに。
防水膜を用いた靴で防水がダメになる(切れる)のも大体この部分なので、そこの耐久性がどうなのかはもう少し履き続けないと分かりませんが、期待して履き続けたいと思います。
この日もどんな路面でもストレスなく快適な歩行でした。
わざと乗ってみた氷の上も意外とグリップよかったです。
古里の どの山からも 雪がくる
裏面の説明はなかなか読みずらい具合でしたが、辰野の歌人 江ほむらさん という方の句のようでした。
おっ!もうひとつ楽しみだったゼロポイントの表記が出てきました。
この表示以降、広い道を離れて、けっこう荒れた感じのトラバース道に入りました。
凍結したトラバース道はワンスリップで谷に落ちますので、細心の注意が必要です。
ここでの細心の注意とは凍ったトレースに安易に乗らないということ。
大きなマツや珍しくスギが生えるトラバースをしばらく進むと、にぎやかな道標が。
日本中心の○○だらけ。とりあえず全部行っとけ。
標はさっき行ってきたので、
次はゼロポイントに行きましょう。あと570m。
右の文字、意味深…。
この道標も新しめですね。
歩きやすい道を進むとけっこうグイグイ下りはじめました。
なんどか同じ道標が距離をカウントダウンしてくれて、トータル10分ほどでようやく残り50mに。
これか!
なにがゼロポイントかって言うと、ここは
北緯36度00分00秒
東経138度00分00秒
それでゼロポイント。国内の陸地に39箇所ほどあるらしい。
いろいろと説明が書いてあったが、少し要領を得ないような説明でした、その中でも一番納得できたのは、
「太平洋および日本海の海岸線から最も遠い内陸にあるゼロポイント」という点。
いろんな考え方ができるので、我こそが日本の中心!と言っている自治体はいくつもあるらしいです。
と、すぐそばに…
チコちゃんポイント!なにそれ…
と思ったが、なかなか面白い試みがされていたようで。
抜粋すると、
「様々な理由から日本の中心を掲げている全国28自治体の経緯度の平均を算出したところ」
↑の日本の中心のゼロポイントからわずか10m離れた場所が
「日本の中心の中心」という認定を受けたらしい!
民主的に解決?さすが人気番組。
で、その 日本の中心の中心がこれ。
↑の説明板のちょっと奥にありました。
辰野町の勝利宣言といったところでしょうか。
それで道標とかが妙に新しかったんですね、納得。
では来た道を戻ります。
町をあげてやってきてしまったことって少なからず税金も投入されているだろうし、引くに引けないよなー。他の自治体は悔しかったろうなーなんて考えてたら、分岐に戻ってきました。
日本中心のパワーストーン水晶岩も一応往復してきました。
先に進みます。
近くの大きなスギの根元に一杯水という場所が、今は渇水期ですね。
すぐ隣の大ヒノキの根元には石仏がありました。旅の安全を祈るものでしょうか。
立派なヒノキ、この道は古くから歩かれていたようで細いトレースの際にはスギやヒノキが植えられています。
一杯水から5分ほどで、広い駐車場のようなところに出ました。
その駐車場を抜けると、おおっ!
広い芝生でその先は大きく視界が開けています。
どうやらここが大城山みたいです。
ひっそりと山名の標がありました。
大城山から見下ろす伊奈平。
右が中央アルプス、左が南アルプス。
ずいぶん暗くみえますが、写真よりも現場は解放感のある天候でした。
ですので、ちょっと芝生で昼寝。
大城山から登山道くだると30分もしないで、舗装路に出ました。
大城山は"絶景"とありますが看板に偽りなし。
そっかそっかゼロポイントの最短の登山口でもあるのか。
チコちゃん効果を期待(懸念?)して、わかりやすい距離表示の道標などを設置したんですね。
ロード歩きもロングトレイルにはつきもの。
しっかりと辰野駅まで歩きましょう。
この後里山の風景が広がり、小春日和の中、(というかもはや暑い)辰野駅まで歩いて岡谷と辰野を繋いで歩くことができました。
塩尻の山第二弾は塩嶺王城ロングトレイルの鶴ヶ峰トレイルでした。
ぼんやりと展望台から山を眺めたり、芝生で昼寝したりしてトータル7時間の山旅でした。
ロングトレイルというだけあり、少し平凡な林道歩きも多く、登山よりはハイキング(定義は良く分かりませんが)寄りのルート。
でも木々の間からはいつも何かしらのビッグな山が見えていました。八ヶ岳だったり南アルプスだったり穂高だったり。
アップダウンは少なくキツさはないので、少し長く歩きたいなーという時の日帰りハイクにおすすめです。
今回はトレイルが凍っていたり、雪があったりで歩きづらいところもありましたが、
もう少し季節が進めば春の花が道沿いに咲き、もっと見どころがあって面白いのではないかと感じました。
標高は概ね1000~1200m程度で、落葉広葉樹も多かったので新緑の時期も涼しくて綺麗でよさそうですね。
ただ、肝心の展望は真冬の寒い時期が一番いいのかも、葉が茂ると見えなくなっちゃいますしね。
でも展望の楽しみを展望台に任せるのならばベストシーズンはやっぱり新緑なのかと、鶴峯公園のツツジの咲きますし!
ということで5月頃再訪したい鶴ヶ峰トレイルでした。
塩嶺王城ロングトレイルはもう一本、塩尻峠~小野峠~初期中山道~桜沢というルートがありますので、近々そちらも歩いてみたいと思っています。