ガイド研修@嬬恋
所属する東京山岳ガイド協会の研修会で浅間山の麓、嬬恋村にやって来ました。
皆さんご存じ、鬼押出し園から研修スタート。
今日の研修は「天明3年の浅間山噴火」に焦点を当ててそれに関する様々な事象を現地で解説してもらいながら巡るというもので、現地で活躍されている同じ会のガイドさんに講師を受け持っていただきました。
トップの写真のような素晴らしい浅間山を望みながらの研修。
気分ものって学びもはかどります。
そしてコロナ禍で長い期間お会いすることができなかった会の皆さんと顔を合わせて研修をできることが嬉しいです。
鬼押出し園では火山の基礎知識や、浅間山の火山遍歴などを学ぶ。
ここは鎌原(かんばら)地区という場所にある鎌原観音堂。
天明噴火で570名いた村人のうち477名が亡くなりました。
原因は土石なだれで村の大半は土砂に埋め尽くされてしまいました。
ここは浅間山の火口から直線で12km以上離れているのに。
なぜそのような災害になったのか?そしてどのように復興したのか?今回はそのようなこと学びました。
僕自身、山のガイドは登山技術や山の中のことだけを知っていればいいものではなく、様々な引出しが必要であることは身に沁みています。
とても意義深い研修です。
観音堂に上がる階段の前にこのような赤い橋が架かっていますが、その橋の下を覗くと、更に下に階段が続いています。
…どういうことか分かりますか?
素晴らしい紅葉の林です。でも単なる林じゃありません。
無数の穴だらけの森です。
直径数メートルのものもあれば数十センチのものまで大小様々。
ここにはそんな世界でも珍しい縦穴の溶岩樹型が2000以上も存在しているようです。
そもそも溶岩樹型って?
興味があったらネットで検索してみて下さい。
そしてこれは溶岩の壁、その名も溶岩堤防です。
写真では分かりづらいですが上部はかなりの急傾斜です。
でもなんで溶岩がこんなにも垂直に積み重なっているの?
不思議だらけです。
鬼押出し園の奇勝、鎌原地区を埋め尽くした土石なだれ、溶岩樹型に溶岩堤防、これらが天明3年の一度の噴火でそれもたった数日で一気に発生した事象というから驚きです。
脳内に良質な「なぜ?」が異常発生したそんな一日でした。
「不思議」に応える、または「不思議」に気づいてもらう。というのはガイドの重要な仕事の一つだと思います。
また、偏見や決めつけは捨てて広く様々なものに興味を持つこと、自らがそうあることでよりたくさんの不思議を発見でき、はじめて感動や驚きを人に伝えられるのだと思っています。
どんどん歳はとりますが、いつまでも感受性は豊かに、なぜ?なぜ?と言い続け、考えつづけたいと思っています。
そして、できればそれを多くの人と登山や自然というフィールドを通じ共有していければと思っています。