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谷川岳

谷川岳

西黒尾根よりトマの耳とオキの耳
西黒尾根よりトマの耳とオキの耳

ガイドで谷川岳をじっくり歩く機会をいただきました。

初日はゆっくりめに都内を出て、一ノ倉沢トレッキング。

二日目は西黒尾根を上り詰めて蓬ヒュッテまで縦走してテント泊。

最終日は馬蹄形を縦走し白毛門から土合橋へ下山。

そんな計画でいざ出発です。

day1

喫茶モグラはお休み
喫茶モグラはお休み

土合駅にやってきました。

変貌を遂げた土合駅を楽しみにしていたのですが…喫茶moguraは休み!そりゃそうか。

喫茶モグラの店内
喫茶モグラの店内

窓ガラス越しに店内を隠し撮り。

駅舎の切符売り場を改装したカフェとのこと。入ってみたかった、うーん残念。

喫茶モグラのメニュー
喫茶モグラのメニュー

外にメニューが貼ってありました。

ドリップはオキノミミブレンドとトマノミミブレンド。いいですね。

国境のトンネル
国境のトンネル

駅から前泊の土合山の家へ向かいます。

 

途中渡る踏切から見えるトンネルはかの有名な一節

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」

の長いトンネルの入り口です。

カエデの紅葉
カエデの紅葉

土合山の家に重い荷物をデポらせてもらい、一ノ倉トレッキングに出発。

天気は曇りですが歩きやすい気候。

 

見上げれば他の木々先んじてハウチワカエデの鮮やかな紅葉。

煙る一ノ倉
煙る一ノ倉

新道を一ノ倉沢まで進み、急斜面を旧道に上がります。

旧道を少し土合方面に戻ると一ノ倉の大岩壁が現れます。

 

こんな感じで雲がかかってましたが、迫力は十分。

明日歩く稜線は見えませんでしたが、ガスってその威容は数割増し。

 

近くの説明板によると、「倉」が岩壁のことを示すようで、一ノ倉は一番の岩壁という意味になるようです。

確かに隣のマチガ沢や幽ノ沢と比べると規模、迫力が違います。

 

帰りは谷川岳山岳資料館を見学して宿に戻ります。

昔の装備を見ると、今の装備で重い重いなんて言ってられません。

day2

西黒尾根登山口
西黒尾根登山口

なんと土合山の家のお風呂が温泉になっていました。

今年許可が取ったようです。

日帰り入浴もやっているとのこと。

土合駅然り、変化を求められているのでしょうか。

 

さて、最新の軽い装備を背負って西黒尾根登山口にやってきました。車道歩きキツイです。

 

10/31までロープウェイが休止しているので、今年は西黒尾根を登る人が急増しているよう。初心者向けの注意書きが貼ってありました。

確かに天神尾根往復のつもりで来て、ロープウェイがやってないからと気軽に変更できるコースではないですね。

白毛門
白毛門

最初の鎖場まで登ってきました、ここでどーんと視界が開けます。

白毛門の雄姿。麓から山頂まで紅葉も良い感じです。

谷川岳山頂方面
谷川岳山頂方面

進行方向を見上げると、草紅葉を纏った谷川岳。

天気は上々です。

西黒尾根上部
西黒尾根上部

我々はゆっくり休み休みでしたが、ハイペースの人達がどんどん抜いていきます。

ここを戻るんだからなんとなく焦る気持ちは分かる。

氷河の痕跡
氷河の痕跡

氷河の痕跡である削られた岩。氷河が削った筋もたくさん見られます。

 

上州武尊や尾瀬の山が良く見えています。

トマの耳道標
トマの耳道標

トマの耳に到着です。道標は真っ二つに割れていました。

何かで落雷で割れたと聞きましたがすごいですね。

仙ノ倉山方面
仙ノ倉山方面

仙ノ倉方面は、変な表現ですが絵画のよう。

オキの耳よりトマの耳を見る
オキの耳よりトマの耳を見る

オキの耳からトマの耳を見るこの感じ、好きです。

 

ちょっと天候が変わってガスがビュンビュン流れてます。

ノゾキ
ノゾキ

突如「ノゾキ」との表記が。

 

ノゾキから下を覗くと…

一ノ倉沢をのぞく
一ノ倉沢をのぞく

1,000m下まで一直線!

 

一ノ倉沢を覗けました。昨日歩いた旧国道やそこにいる観光客がよーく見えました。

ハクサンシャジン
ハクサンシャジン

なぜか一株だけハクサンシャジンが…。しかも結構しっかり。

今は10月、花期は7~8月。なんでなんで?

武能岳
武能岳

一ノ倉岳、茂倉岳を越えて本日最後のピーク武能岳。

 

長時間行動の最後にこの登りがなかなか曲者。

蓬峠の水場
蓬峠の水場

武能岳の山頂で真っ白にガスりました。

 

場面は飛んで蓬峠の水場。

この時期は初めてきましたが、水量豊富でした。

 

相談の結果、翌日は天気予報も悪いので、長い馬蹄形縦走はやめて旧道に降りることに。

 

馬蹄形は長い上に雨だと白毛門の下りも危険なので、もっといい条件の時に歩きましょう。

day3

アギスミレ?
アギスミレ?

基本的に下山のみですので、少しゆっくりめに出発。

ただ、この下りもなかなか道が悪い。

 

沢筋の通過でちょっとずついやらしい箇所がありました。

時間はあるので慎重に降ります。

 

そんな道すがらちょっと変わった葉っぱのスミレが。

ニョイスミレの変種アギスミレかと思いますが自信なし。

ブナのしずく
ブナのしずく

白樺避難小屋からは紅葉の良いブナ林を進み、更に新道(湯檜曽川沿い)に降り川沿いに進みます。

 

JR見張り小屋から旧道に上がっておとといは見なかった幽ノ沢を見て帰ることに。

 

すると幽ノ沢の手前に「ブナのしずく」という水場が。

すぐ上のブナの根元から伏流水が出ています。

苔と水
苔と水

写真はシャッターの速度のせいか濁って見えますが、実際は全然濁ってません。

そしてこれも全然うまく撮れませんでしたが、苔が物凄くキレイでした。

 

水はthe軟水で美味。

幽ノ沢
幽ノ沢

幽ノ沢は紅葉が見頃でした。上部はガスって見えず。

清水越新道の石垣
清水越新道の石垣

一ノ倉沢、マチガ沢と通過。一ノ倉沢からはハイカーもドッと増え賑わってきました。下界の天気予報は良かったんですかね?

車両通行禁止ですが、時折EV車の観光用バスが通過します。

 

この写真は、1885年(明治18年)に整備された、群馬の土木遺産「清水越新道の石垣」です。

この石垣がある現在旧道と呼ばれているハイキングルートは実は国道291号線、上州と越後を結ぶ重要な道です。

上州と越後の国境が豪雪地帯であることは明らか。

そのような厳しい環境に晒されること100年以上、この道をぐっと守り続けてきた石垣です。

よっぽどの技術じゃないとあっという間に全崩壊してもおかしくないでしょう。なんの変哲もないものに見えますが素晴らしい技術の結晶です。

清水越新道の石垣
清水越新道の石垣

しかしながら、最近の豪雨はそんな100年を越えた建造物をも破壊するパワーがあるようで、最近崩れたであろう場所も散見されました。

最近気象予報で聞くようになった「経験をしたことがない」という表現は人間だけの話ではないんですね。

ブナの森に陽が差す
ブナの森に陽が差す

西黒尾根登山口に戻ってくる頃にようやくブナの森に少し陽が差してきました。

 

相変わらず清水峠や朝日岳方面の稜線は真っ白なガスに包まれたままでした。


谷川岳を巡る3日間。振り返りが難しい結果になりましたが、これはこれで良かったと思います。

 

山との間が噛み合わないとでもいうのでしょうか。

そんな時にはやめる決断も必要で、強引な決行は遭難の第一歩を踏み出すのと同じです。

遊びなんですが、時には死ぬことすら容易い遊びです。

悩んだ挙句に決行して大きな怪我などしたら後悔しか残りません。死んだら言わずもがなです。

 

たくさん悩んで判断を経験した分だけ、成長して安全に遊べるようになるはずです。

悩んだり、悔しいという苦しい思いがあったのであれば必ず糧にして欲しいと願います。