ぶらり青森
八甲田山、十和田湖、奥入瀬渓流と青森県のドメジャー観光地を巡る1泊2日のゆるゆる旅に行ってきました。
day1
朝の青森駅。
駅名よりもジョフル歯科の看板が目立っていてそれが駅舎だと一瞬分からなかった。
バスで八甲田ロープウェーに移動です。
どうでもいいですが、ここはロープウェーです。ウェイじゃなくて。
ロープウェー山頂公園駅から、歩き出し。
今日は赤倉岳、井戸岳、大岳を踏んで上毛無、上毛無を経て酸ヶ湯へ下ります。
どうやら紅葉も良いという情報ですし、なによりも無積雪期の八甲田は初めてですので楽しみです。
マイヅルソウの実は深いワインレッド。
葉っぱは既に朽ちています。
オオカメノキは熟した実をわずかに残していました。
黄葉が目立ちます。
ツバメオモトの実も黒。
アカミノイヌツゲは常緑で実は赤に熟すので緑に赤が映えます。
ナナカマドはなかなか実が取られないので、このまま冬まで残るかも知れませんね。
ロープウェー駅から田茂萢岳を踏んで赤倉岳の登りにかかると視界が開けました。
茶色い部分は田茂萢湿原で、左の小さな丘が田茂萢岳。
ロープウェー駅を基点にこの湿原と山を八の字回るコースが八甲田ゴードラインと呼ばれる散策路になっています。
左奥には岩木山も見えてます。
赤倉岳はロープウェイ側からは分かりませんが、山頂部まで登って裏側をみると崩壊して荒々しい表情です。
赤い部分は熱による変色で、露出している岩は溶岩でしょうか。
山頂付近には祠がありました。
屋根の葺き方が少し特徴的な菱葺きです。
以前冬に来た時のこの祠の写真が出てきました。
この時は視界不良の稜線に出て、祠を見つけてなんかホッとした記憶があります。
屋根の葺き方と後ろにポールがあるのが同じでした。
赤倉岳はどこがピークなのかはっきりしませんが、急に道標が出てきました。
奥に井戸岳と大岳が縦並びに見えています。
井戸岳は火口になっていました。
登山道はこの写真の左側の外輪山縁を進むのですが、冬に来た時はなんとなくですが、正面に見えている岩の向こう側をトラバースしたように思います。
強風と視界不良でとにかく尾根から離れないように稜線直下の深雪を延々トラバース&ラッセルした記憶があります。
欠けたエビのシッポが飛んできてバシバシ顔に当たって痛かった、そんな記憶も。
進行方向左手には綺麗な円錐形の高田大岳と雛岳。
井戸岳から下ると鞍部避難小屋がありました。立派な建物です。こんなに嵩上げされた建物とは知りませんでした。
冬は当然の如くここに転がりこんで一息つきますが、今日は登山者が多く外で一休み。
避難小屋から一登りで大岳山頂に登頂です。
紅葉の見頃とテレビでもやっていたせいか結構すごい人です。
大岳の頂上より少し下から避難小屋と井戸岳を見る。
井戸岳は先ほどの火口とこちら側にも火口がある山なんですね。
これも冬の写真がありました。
この時は避難小屋でしばらく天候回復を待って大岳に登ったような記憶があります。
さぁ今日の最大の目的はここから!
八甲田が誇る毛無岱の紅葉とかいかがなものか。楽しみです。
酸ヶ湯方面に進みます。
木道が現れ、草紅葉の湿原が。ここが上毛無岱のようです。
大きく開けた気持ちの良いところです。遥か先には岩木山。
ここが一番の見どころか。上毛無岱から下毛無岱に降りる階段です。
ちなみにこのコースの名前は毛無パラダイスライン…。
階段を下りきって上毛無岱を振り返ると、降りてきた階段の斜面の紅葉が圧巻。
針葉樹が混ざるのが良いですね。ここがピークでした。
少し進むと今日登った山々が背景に現れました。
緑の北八甲田の山々、極彩色の帯、黄金色の草紅葉。お見事です。
湿原には花の終わったキンコウカが大量にありました。
これが咲く時期にも来てみたいです。
ミズナラが素晴らしいグラデーションで紅葉していました。
ミズナラは大きく成長すると大抵黄色に色づきますが、小さい個体はこのように赤くもなります。
下山ルートは足元ぐちゃぐちゃ。紅葉に気を取られていると足が埋まります。
このオオカメノキは芸術的な美しさでした。
重なり部分の濃い色が絶妙ですね。
奥の澄んだ黄色はオオバクロモジです。
個人の見解ですが、黄色に色づくものでは一番きれいな色だと思います。
最後は山地帯の植生に変わって、もう少し下るとあっさり酸ヶ湯に着いてしまいました。バスまで時間があったので、入浴。
いいとこ取りの八甲田山でしたが手軽でいいルートでした。
今日はここから十和田湖に移動して一泊です。
day2
今日は十和田湖の休場から観光遊覧船に乗って奥入瀬渓流のスタート地、子ノ口へ向かいます。
船の時間まで時間があったので、十和田神社へ。見ての通り荘厳でしたが、なぜか境内で家族連れがわちゃわちゃしてて残念。
遊覧船で十和田湖をのんびりとクルーズして子ノ口の到着しました。
一度は来たかった奥入瀬渓流。ここから約14kmの遊歩道が整備されています。
十和田湖は大きな河川の流入がなく濁ることが少ないので、流れ出る唯一の河川である奥入瀬渓流はとても水が澄んでいるのが特徴とのこと。
確かに!
少し進むと水門が出てきました。
この水門で流量が一定に保たれるので氾濫せず、景観が保たれる…という話を目に耳にしましたが、実は違うらしい。
元々安定した水環境で、奥入瀬渓流の優れた景観は自然の力によるものとのこと。
全然関係ないですがこの水門のデザインがシンプルで格好いい。
ニシキギの枝に翼がないものをコマユミと呼びます。
雰囲気が似てますが、こちらはツリバナ。
果実が5裂するのが特徴です。
コマユミもこれもニシキギ科ニシキギ属の仲間です。
奥入瀬渓流唯一の滝、銚子大滝です。別名は魚留の滝。
この滝があるので、昔は十和田湖には魚がいなかったようです。
和井内貞行(わいないさだゆき)という人が明治期に養殖事業に乗り出し、何度も何度も失敗を重ね、ラストチャンスとして試したヒメマスでいよいよ養殖に成功したとのこと。
今では『十和田湖ひめます』としてブランド化しています。
渓流に流れ込む滝は個性があり色々な名前がついています。
これは沢山の段々を流れ落ちるので、九段の滝。
奥入瀬と言えば苔。
北八ヶ岳、屋久島と並んで苔の3大聖地と言われているらしい。
これは蛇柄なのでジャゴケ。
遊歩道と渓流を隔てる丸太の上には延々とそしてびっしりとクサゴケ。
柵もすごいことになってます。
石垣が組んであるとことにはこれもびっしりとネズミノオゴケ。
ネズミの尻尾みたいな苔ってことですね。
そう聞くとこの写真、少し気持ち悪いかも。
9kmほど歩き、石ヶ戸という休憩所のあるところまできました。
ここで渓流散策は切り上げてバスに乗りました。
なんというか、わいわい騒ぐ観光客が多くて、遊歩道と車道は隣接して車はすぐそばをビュンビュンだし。大量の路上駐車をパトカーがスピーカーで注意しながらうろうろしてるし…。
素晴らしい自然も景観も簡単に台無しにできます。
それのいい例。
そういえば今日は土曜日でした。せめて平日なら…残念。
バスで青森駅方面へ戻ります。
青森に戻るバスを三内丸山遺跡で途中下車。
閉館までもうあんまり時間が無いけど見学します。
とりあえず屋外の縄文の建物の展示へ。
これは草に覆われた竪穴建物。中に入ると結構広いです。
掘立柱建物は柱の跡が見つかったので、高床式では?と想定して復元されています。でかいです。
これはその名も大型竪穴建物。写真ではよくわかりませんが、内部は驚くほど広いです。大空間です。
で、こちらが大型の掘立柱建物。
柱の径や底部にかかっていた土圧から複層だったのでは?と考えられて復元されていますが、壁があったのか?屋根があったのか?などは諸説あるので復元していないようです。
なんかモニュメント的なものかと思ってましたが、これが完成形ではないんですね。
こうやって復元されたムラを一望するとなんだか縄文の生活もけっこう楽しそう。
ただ、ここに550棟以上の竪穴建物があったらしいのですが、それだけ人がいれば現代人と同じような悩みなんかもあったのかも知れませんね。ご近所付き合いとか。
室内展示はいよいよ時間が無くてざっと見で終了です。また来ます。
それでは青森駅に戻ります。
駅近くの魚介ダシの津軽ラーメン店「長尾中華そば」で濃厚な煮干しが香るラーメンをいただいて帰路につきました。
急に思い立ってぶらりとやって来た青森の旅でした。「一度は行きたい」と思っていたところをピンポイントで回りました。
奥入瀬は観光地過ぎて少し残念でしたが、八甲田は十分ガイド対象になる山だと思いました。
実際にガイド登山の団体も何組かいたようです。
三内丸山遺跡をもっとじっくり見たいのと、あと八甲田雪中行軍の足跡を辿る旅もしてみたいのでまた再訪したいと思います。
無積雪期の岩木山も登らないと。
なんとなく当初の目的としてはガイド下見の感が強かったのですが、
訪れてみるとなぜか気の張りも消え失せて、だらっとした素晴らしい休暇になりました。
東北はどこの県も個性と魅力に溢れていて何度でも来たくなります。