秋の御嶽山-1
10月の初旬、秋の御嶽山をガイドしてきました。
御岳ロープウェイを利用した剣ヶ峰往復の日帰り登山者が多いようですが、今回はあえての2泊3日。
二の池ヒュッテに連泊して御嶽山の色々な表情を楽しもうという山旅です。
新宿から 特急あずさ→特急しなの と乗り継いで木曽福島駅に到着。
そこからバスとロープウェイを乗り継いで2,150mの飯森高原駅まで標高を上げます。
飯森高原駅から登山開始。
2,000mを超していますが、ロープウェイの上の駅ですので観光客も訪れます。
ロープウェイを降りると屋上展望台や御嶽社、高山植物園があります。
高山植物園には最後の一輪のチングルマが。
そして薬草ゾーンにはコマクサも…
なぜこの時期に?
この御嶽社は参拝が容易に行えるようにロープウェイができた後にできたのでしょう。
金剛童子に立つ大きな碑。
九合目の石室山荘を通過し、急な斜面を登ると覚明堂に到着。
ここは一時、覚明(かくめい)行者の遺体が安置されていた場所とのこと。
大きな覚明行者の銅像があります。
いま歩いてきた黒沢口登山道を開いたのはこの覚明行者。
もっと言えば登ることへのハードルが極めて高かった(過酷な修行に加え高額の入山料が必要だった)御嶽山を一部の修験者のみならず、庶民に開いたのがこの覚明行者です。
なかなか許可が下りず、強行登山をして投獄までされています。
囚われの身から解放後にも信者との登拝、黒沢口を整備を進め、数百年続いた入山の規制から御嶽山を庶民へ開放することに成功しています。
集団で登拝する「講」、この山で言う御嶽講はそこが出発点となっています。
この日は展望も期待できませんし、時間も少し遅かったので覚明堂から山頂に向かわず二の池ヒュッテに直行しました。
day2
今日は午前中に前線が通過する天気予報、行動開始をできるだけ遅らせてヒュッテを出発し、継子岳の周回登山に出かけます。
前線通過後にできるだけ早めに天候が回復することに期待して。
出発時の視界はわずか20mほど。
サイノ河原に降りてきました。
相変わらず視界はこんな感じ。
サイノ河原から三ノ池経由で四ノ池、継子2峰と半時計廻りで継子岳山頂までやってきました。
想定よりもやや回復が遅れて、ここまではほぼ真っ白の中を歩きました。残念。
でもまだまだ分かりません。
針の山。その名の通り地獄の趣。
五の池小屋のある飛騨頂上まで進んできましたが、相変わらずガスガス…。全然回復しない。おーいどうした?
五ノ池から岩が積み重なる斜面を登って、摩利支天乗越に到達。
ほとんど戻ってきてしまいました。
本当に展望皆無のまま本日の行程が終わるのか??
視界が届く足元の紅葉は様々な色が入り混じってなかなかいい。
雨は降っていませんが、霧に濡れてコケモモもびっしょりです。
※↑のツルコケモモの実と大きさを比べてみて下さい。両者の葉っぱの大きさは大体同じです。
摩利支天乗越からトラバースして本日最後のピーク摩利支天山に登頂です。
いまだに視界は…ない。
ここからは剣ヶ峰が良く望めるので是非見て欲しい!
そしてこのピークは南斜面をトラバースするので、北風の今日はほぼ完全に風が避けられる。
今日はヒュッテに戻るだけの行程だし、もういい加減天候が回復するだろう時間になっているので、好条件のここでちょっと待ってみることに。
すると…
15分ほど待つと、ガスがだんだんと晴れて…
見えました!剣ヶ峰。眼下にはサイノ河原、六ノ池も見えてきました。
とりあえず一安心してゆっくりと摩利支天乗越に戻ることに。
この調子で回復してくれれば、ヒュッテまでの戻りがけには三ノ池やさっき登ってきた継子岳が見えるかも。
戻り始めて摩利支天山を振り返ると、青空と太陽が!
これは期待大!!
剣ヶ峰方面はばっちりガスも抜けました。
長かった閉塞感からの突如の解放がとても気持ちいいです。
そんな景色に感動していたら悪天候の時にはなかなか発見できなかった雷鳥現る。
雷鳥は本当にのんびりしていてかわいいです。
サイノ河原(白竜)避難小屋までくると、午前中の周回時は全く見えなかった三ノ池と継子岳が現れました。
今日歩いてきた道がほぼ全部見えてます。
ヒュッテまで戻り、ヒュッテ前から摩利支天山を見返す。
もう雲もほとんどありません。
回復はだいぶ遅れた感じだけど、晴れ間が出てからの回復スピードは早かった。
前線通過時の天候の変化を目と身でしっかりと体感できた一日でした。
本日も二の池ヒュッテ泊なので、摩利支天山で急ぐこともなく、いくらでも天候回復待ちができました。
おそらく大多数の人がこの行程であれば1泊2日を選択すると思いますが、それでは見れなかった景色がたくさんでした。
この当然この夕暮れもそう。まぁ結果論ではありますが今回はゆるめの計画の勝利です。
さぁ前線が遠のき高気圧が近づく明日はどんな景色が待っているのか。楽しみです。
day3につづく