後志・胆振の山々を巡る-2
五色温泉からは東にニセコアンヌプリ、西にイワオヌプリ~ニトヌプリ~チセヌプリ~シャクナゲ岳と続く縦走路が延びています。
今日はニセコアンヌプリに続き宿を挟んで向かいの山、イワオヌプリを往復します。
山と高原地図では入口のインフォメーションセンターから山頂まで1時間程度。
昨日後方羊蹄山で長い長い行程を歩いているので、おまけ的なちょっとゆるめの設定です。
インフォメーションセンターから橋を渡るとさっそく見どころ。
この写真どうでしょうか?
上の方に高い木があり、下の方に高山帯にある矮小低木がびっしり。
明らかに植生の垂直分布のルールを無視しています。
こういうのを植生の逆転現象と言います。
その原因はこれ!
この黄色の結晶。そうです硫黄です。
あとはいつかの実際のガイド時にでも説明させていただければと思います。
この硫黄があることからこの山がイワオ(硫黄)ヌプリ(山)と命名されています。
林の中にはなにやら大量の青い実が!
ツバメオモトの実でした。
ほんとうに鮮やかな青ですね。しかもでかい。
よく整備された階段を高山帯から亜高山帯に上っていきます。
階段を上ってしばらく樹林の中を進むとだんだんと木々が薄くなり展望が開けてきました。
どんより雲の暗ーい写真ですが、はじめて山から広い北海道の大地が見えた感動の瞬間。
再び傾斜が強まり、花崗岩の礫の道を登っていくと、後方にゴツゴツした岩が点在する山とジグザグ模様の入った草原状の気持ちの良さそうな山が見えました。
同じニセコ連山の小イワオヌプリとニトヌプリ。
あまり印がなく、どこでも歩けそうなやまなので、そういう山のルート取りを説明しながら登っていきます。
目の前が開けると…おお!
これぞ火山という光景が。
北西方向には火口湖であろう大沼とその先には日本海が見えました。
暗い写真ですがここでも感動。
だんだん視界も良くなって明るくなってきました。
イワオヌプリは火口を避けるように2つのルートで登頂できるのですが、これはもう一方のルートを進む登山者。
少し遠くの山も見えました。
山頂道標は全然山頂ではないところにあり、最高峰の東峰にはごく簡単な藪漕ぎで到達します。
1116mイワオヌプリ登頂です。
東峰より山頂道標方面。4人の登山者の方々が我々が東峰に向かうのをずっと見ていました。
東峰は登山禁止ではないと思いますが、踏み跡がだいぶ薄かったので一般には皆さんのいる山頂道標があるところを山頂としているようですね。
東峰から山頂道標への戻り道。
苔にコケモモ。
地衣類にシラタマノキ。
しっかりした実のガンコウラン。
と、赤白黒の実が揃い踏み。
これが山頂道標。奥が東峰です。
まぁこう書かれたらここが山頂だと思いますよね。
これがイワオヌプリです。
小さいが迫力のある山です。
午前中に登ったニセコアンヌプリ。
だいぶ雲も上がったが、山頂は最後まで見えず。山あるある。
下山して五色温泉からイワオヌプリを見るとすっかりガスがとれていました。
おまけで行った山にしては思いがけず素晴らしい山でした。
その後、インフォメーションセンターの展示でこの山の硫黄の採掘からニセコの歴史が始まったことを知りました。
いまではスキーや温泉で有名な「ニセコ」が今日登ったこの山から始まっていると思うと、いい山で然るべきだよなと妙に納得してしまいました。
day4
今日は、昨日のイワオヌプリから西に続く同じニセコ連山のチセヌプリに向かいます。
夕方から今年白老町にオープンしたウポポイ(民族共生象徴空間)のアイヌ博物館を予約しているので、登山は軽めです。
神仙沼レストハウスから登山開始。
神仙沼までは観光客でも歩けるよう木道が整備されていました。
神仙沼との分岐を過ぎ、人口湖の長沼まできました。
長沼のほとりに立つと…
どこが湖だかわからないレベルのガスり方。残念。
非常に歩きずらい緩傾斜の道を進むとチセヌプリとシャクナゲ岳の分岐に到達です。
チセヌプリ方面へ向かいます。
なかなか天候が良くならない中、分岐から1時間ほどの登りでチセヌプリ登頂!
チセはアイヌ語で家のこと。
チセヌプリは「家のような(形の)山」という意味。
さぁビーナスの丘まで戻りましょう。
戻りがけにこんな実が。なんだか分かりますか?
ずいぶん変わった形の実ですね。
ちょっと引いて葉っぱもいれるとこんな感じ。
雪の多いエリアに咲く1属1種のあれです。
そう。シラネアオイの実でした。
この花が咲く時期にまた北海道の山を訪れたいです。
エゾオヤマリンドウがいい状態で咲いていました。
どんな天気でも見れるので、花はいいですね。
おおっ!もう9月なのにニョイスミレ。
展望を期待して予定していたシャクナゲ岳はあまりにガスっているので登るのをやめて、神仙沼を散策しました。
シャクナゲ岳からはチセヌプリ、イワオヌプリ、ニセコアンヌプリ、後方羊蹄山と登った山々が連なって一望できるはずだったので少し残念。今日は到底無理です。
神仙沼ではミツガシワが水面からたくさん頭を出しています。
花は時期的にほとんど咲いてありませんでしたが、気持ちの良いコンパクトな高層湿原でした。
ここを歩いているとなんだか尾瀬に行きたくなりました。
レストハウスに戻って、白老町に移動しウポポイへ。
園内に入ると湖のある気持ちの良い空間でした
さすがに敷地がすごく広くて、短時間では見きれません。
また、今はコロナ対策で博物館の見学時間が1時間ごとに区切られてしまい(今回は17:00~18:00でした)、展示をあんまりじっくりと見ていられなかったのは残念でした。
ウポポイは博物館の他にも民族楽器の演奏を聴けたり、チセの中に入れたりと体験が多くできる施設で、今回見きれなかった分はまたいつか時間を作ってきてみたいと思います。
北海道に行ったらぜひ。
https://ainu-upopoy.jp/
最終日の樽前山につづく