雲ノ平-2

他のカール同様に当然ここでも最後は急傾斜で縁に登ります。
急な登りで振り返ると薄明光線が。よく「天使の階段」などと表現されます。
他に「ヤコブの梯子」や、開高健が好んで使った言葉「レンブラント光線」なんていう表現も。

黒部五郎岳から下山し、三俣蓮華岳、双六岳と進み双六小屋に到着です。
この間なぜか全然写真が無かった…。ほとんどガスガスでした。
双六小屋の看板は『花の百名山』『新・花の百名山』を著した田中澄江さんの筆。
day5

全草に毒を持つトリカブト。僅かな量でも食べればあっという間に死に到るそうです。
アイヌの人々はこれを毒矢に用いてヒグマやシカの狩猟をしました。
よく観察するととてもキレイな花ですが、あまり触れない方がよさそうですね。

道端に倒れていた修験者に弘法大師・空海がこの葉を絞って汁を飲ませたら、みるみる回復して起き上がったというのでヒキオコシ。
カメバは噛めばじゃなくて、亀葉です。亀のような葉。
秋の花ですね。

これもどちらかというと秋の花サラシナショウマ。
○○ショウマはみんなこれの葉に似ているという意味で付いていますので、元祖ショウマ。
ショウマというのは升麻という生薬の名でこの花の根を乾かしたもののことを言います。
ちなみに市場に出回る升麻のほとんどは中国や朝鮮半島産のものらしいです。
見ての通りよく虫が集まってます。

一滴も水がない!
渡れないほどの増水を見たことはありませんが、良く雨の後に「渡れなくなるから早めに降りた方がいい」という情報は耳にします。
もしここを渡れなかったら…
鏡平まで引き返して、抜戸岳まで登って笠新道を下山?などと思うとぞっとします。

顕著な4つの翼をもつヒロハツリバナ。
乾燥すると裂けて種子を散布するこのような果実のタイプを蒴果(さくか)といいます。
これと違って上向きですがユリも蒴果ですね、ニッコウキスゲとか。
蒴果が写真のように平たくて4翼(=4裂)のものはこのヒロハツリバナです。
似ているツリバナやオオツリバナは5裂でクロツリバナは3翼(=3裂)。
マユミは4裂ですが翼というほど尖ってなく丸みがあります。

小池新道の入り口まで降りてきました。
ここまで来ると舗装路と砂利道が交互に出てくる林道です。
ほぼ下山といっても差し支えないところ。ただし車は呼べません。
新穂高温泉までは約1時間半の道のり。
途中の山側斜面は広範囲に風穴となっていて涼しい風が漂ってきます…が、今年は群発地震でかなりの落石が林道にも落ちており、山側に寄ることにリスクがあります。
新穂高に近づくとしっかり組まれた石垣が崩壊していたり、いまにも崩れそうに膨らんでいたり…。
この地震は、山は、今後どうなっていくのでしょうか?
そんなことで最後に少し落ちこんだ気分になりましたが無事に新穂高温泉に下山しました!
このところ毎年一度は訪れている雲ノ平周辺のこの山域。今年は無理かなと思っていましたがこうしてまた来ることができました。
4泊5日と長い行程でしたが終わってみるとあっという間。
台風の影響で計画の全てはこなせませんでしたし、それほど良い天気や展望にも恵まれませんでしたが、わりと山の中ってこんなもん。
予定通りにこなす!とか絶対に登頂する!!
なんていう想いは、自然の前では時として蟻が「像を倒す!」と言っているのと変わりのないほど愚かな想いとなります。
(逆にそんな気持ちの強さが必要な場面もあるとは思いますが…)
そんなことよりも、じゃあこの中で安全に動くにはどうするか?何に期待しどこを楽しめるか?何を学べるか?
という冷静に現状を捉え、謙虚かつ広く大きな心で自然に接することの方がよっぽど重要だと思っています。
その分、たまの好天や雲一つ無い大展望を稀な恩恵として、しっかり受け取るというのが山や自然との正しい付き合いかたなのではないでしょうか。
と、なぜか突然語りに入っちゃいましたが…
来期はこの素晴らしい山域で皆さんに興味を持っていただけるような募集企画を作れればと思っています。