雲ノ平-1
9月初旬。
今回は朝一で東京を出てそのまま一気に太郎平まで行くので、スタートは遅め。一緒にスタートした登山者は若者二人組だけでした。
静かな折立です。
この日、折立のキャンプ場は熊が頻繁に出没したとのころで閉鎖されていました。
折立の大ミズナラに見送られ太郎坂に取り付きます。
最初に展望が開ける三角点までは天気はそこそこ良かったんですが、その少し先から豪雨!!!
写真は一枚も取れませんでした。
最初の降り方があまりにも強かったんで、短時間で止むかなと思ったのですが、結局小屋到着まで長い時間降り続きました。
登山道はあっという間に許容する水量をオーバーし川のような様相でした。
写真は小屋に入ってしばらくして雨が上がったあとの木道です。
この日の太郎平小屋は豪雨での計画変更などで飛び込みもあったようですがコロナ対策のためかお客さんは少なめ。
day2
朝靄に煙る太郎平を後にし、薬師沢出合を目指します。
滑る木道に気をつけながら、薬師沢小屋に到着しました。
赤い吊橋で黒部川を渡り、雲ノ平への急斜面へ取り付きます。
ハリブキも実の時期ですね。鮮やかな赤。
滑るゴロゴロ岩の斜面を登り切り、木道が現れるとだんだんと傾斜も緩んで視界も開け雲ノ平に到着です。
各庭園で休憩しつつ景色を眺めつつ。
アルプス庭園(祖母岳)を往復してから山荘へ。
残念ながら祖母岳から水晶岳は望めず。
もしこれから始めて雲ノ平に行くという方がいたら、祖母岳にはぜひ登りましょう。悪天候とかじゃなくて多少の疲れ程度だったらぜひ。
以前ツアーでガイドをした時もすぐそこ(10分強)の山頂に「私は疲れたから待ってます」という人がいて無理強いはしませんでしたが、本音を言えば無理強いしたいぐらい是非訪れて欲しい場所です。
山荘に入り、受付を済ましてテラスでビール。
テラスからは水晶岳が真正面。
黒部五郎岳や笠ヶ岳も見えました。
ここは本当に素晴らしいところです。
しばらく休んでから水を取りにテント場へ。
小屋でも水は売っていますが時間がたくさんあったので。
テント場には2張ほど張ってありましたが、今晩から台風の影響が出そうなのでちゃんと寝られるのかどうか。余計なお世話ですね。
ドーム型もどこまでポールが耐えられるかなんて良く分からない部分あるからけっこう大きく煽られると焦りますよね。
轟音をBGMにして、大丈夫!と思い込んで眠っちゃうのが一番かも。
しっかりとテントを張れる技術とあとは精神力?図太さ?が必要ですね。
キャンプ場分岐から見る水晶岳はその別名通りまさに黒岳でした(偶然)。
ぽかぽか暖かい中での雲ノ平の散歩は最高でした。
さぁ小屋で夕飯だ。
day3
昨晩は台風の影響が本格的に出てずいぶん風の音や雨が屋根を叩く音が聞こえていました。
朝の風の様子を見て、水晶岳に向かうか稜線のピークは諦めて黒部五郎小舎に安全なルートで向かうかを判断します。
恐る恐る小屋を出てみると…出発直後からすごい風、わずかに雨も混じっていてとても稜線に出れる状況ではありませんでした。
これから更に悪化するという予報も出ており、残念ですが水晶岳と鷲羽岳は諦め、今日はできる限り風を避けられるルートを選んで黒部五郎小舎まで歩みを進めるのが精一杯だと思います。
とは言うものの祖父岳を巻いて吹いてくる風は相当なものがありました。幸い雨は止みました。
気温がやや高いのと雨が止んだのは救いです。
この状況で一番怖いのは低体温ですからね。
もし朝からまともに雨が降っていたら今日は雲ノ平山荘で停滞する他なかったと思います。
※ちなみにこの時は三俣山荘と水晶小屋は一旦営業を終了していました。その後9月の連休に一時再開したとのことでした。
祖父岳を源流碑への下降点まで回り込んでいる辺り。
チングルマが群生して強風に煽られています。
こういう時の花の姿を見ると「他の植物はこの風に耐えられないよなぁ」という感じ、なぜここにこのような植物が密集するのかが理解できます。
この日本庭園あたりで最も強い風を受けました。
写真だと全く強風とは伝わらないんですが、本当にすごい風でした。
強風地帯を抜けて眼下に流れる黒部川まで下降し、対岸に渡ると黒部川水源地標のある広場に出ました。
この辺りは風がなくホッと一息つけます。
こんな小川をチョロチョロと流れる水もいずれは上ノ廊下を通り黒部湖の一部になり黒部ダムを通って日本海に注ぐと思うとなんだか感慨深いです。
本を読んだり、うとうとしたり、明日の行動を確認したり。たまに轟音と共に風で小屋が揺れます。