鹿島槍ヶ岳 その3
稜線の山小屋なので朝食時間が遅いというわけではないのですが、日の出前に出発したいのでお弁当です。
出発し冷乗越まで少し登ると視界が開けます。
今日も少し雲が多い天気か?
と思ったのも束の間。
流れていた雲が切れ鹿島槍ヶ岳が姿を見せてくれました。
日の出前のこの時から数分間が景色が一秒ごとに変わる一番楽しい時間。
高い空の雲がいち早く朝日を浴びて染まります。
だんだんと柔らい色に変化してきました。
見える山は妙高山、火打山、焼山などが並ぶ頚城(くびき)山塊。
日の出直前。燃えるような色に。
立山が薄いピンク色に染まります。
日が出ました。
鹿島槍ヶ岳も数分前とは別の山のよう。
おはようございます。
剱岳も起床。
二本の縦に延びる白い部分は氷河です。
左側が三ノ窓氷河、右が小窓氷河。
2012年に現在の日本で初めて氷河と認められた3つの雪渓のうちの2つです。
昨日同様に東側の谷からの風の吹き上げが強く、稜線で西側からの風とぶつかって渦を巻いています。
この稜線を歩いているので当然風は強いです。
雷鳥の親子出現。
おいおい!と思ってしまうほど全く警戒なくこちらに向かってきます。
雷鳥の学名は Lagopus muta と言いますが、Lagopusはウサギの足という意味です。左のヒナの足が羽毛に包まれているのが分かります。
ちなみにmutaは鳴かないという意味で、確かにきれいなさえずりなどは持っていませんね。
昨日、一昨日と見えなかった槍穂高連峰が見えました。
東に開けた谷は風が強い!
雲がひっきりなしに流れている鞍部(わずかに虹がかかってますね)に種池山荘があります。
奥は立山。左上から右下に延びる雪の塊が2012年に認められた氷河のもう一つ、御前沢氷河。
現時点で世界で最も南にある氷河です。
こんなにチングルマの果穂(かすい)がきれいだと思ったのは初めて。
種池山荘周辺は一見の価値ありなチングルマの宝庫です。
今は「爺ヶ岳ピザ祭り」だったのか!
このコロナ禍では貴重な祭り。
種池山荘は13時まででしたが、昨日いただいた冷池山荘は15時まででした。ご馳走様でした!
ここから柏原新道の下山にかかります。
色形共にほぼベストなハクサンフウロ。
こちらも色も形もよいオヤマリンドウ。
夏も終わりですが、今回は花もいろいろと楽しめました。
しばらく下山して小屋を振り返る。
種池山荘と冷池山荘は同じグループの山小屋です。
どちらの小屋も快適に過ごすことができました、コロナ対策万全でした。
そして何よりも今年開けてくれたおかげでいい山歩きができました。感謝です!!
ゴゼンタチバナはたまに物凄い数の実をつけた個体を見かけることがあります。
写真のものもけっこうたくさんに見えますがまだまだ序の口。
きれいな虫コブだ!と思ってカメラを向けたらすぐ下から虫がお出まし。あ、どーも。ヤブキリかな?
虫コブの犯人はこいつではありません。
ナラハヒラタマルタマバチによって作られたナラハヒラタマルタマフシという名の虫コブです。
コブシの実です。これが握りこぶしのようだからコブシという説も。
さすが歩きやすい柏原新道。さらさらっと下山できました。
3日間お疲れ様でした!特に最終日に素晴らしい景色がたくさん見られましたね。
鹿島槍ヶ岳を扇沢から往復する2泊3日の山旅。ここだとやっぱり1泊2日が多いんでしょうね。
今回もそれでも十分歩けたとは思いますが、奥穂高でも書きましたがやっぱり昼からの雷雨を避けるなら2泊3日が無難です。
2つの小屋も同じグループなんで悪天候時の予定変更もスムーズだと思います。
今回の、歩いたあとの山小屋でののんびりした時間、ピザにビール、朝の山々の姿。
1泊2日だったらこうはいかなかったかも知れません。
そして関東圏の人間とってこの辺りは便利ですが…やっぱり遠い。
※もっと大変なエリアの方々がいることは十分承知しています。
これから自宅まで帰ることを考えると最終日はお昼前後には下山したいものです。
前回の奥穂高と今回の鹿島槍では「丁寧にじっくりと山を楽しみ切る」ということがガイドとして表せたかなと思っています。
僕自身も楽しめた良い山旅でした。
次は雲ノ平です!