奥穂高岳 その2
8月中旬の奥穂高岳。
本日も昼からは雷雨の可能性。
登山の基本中の基本、早立早着に忠実にいくため朝食はお弁当です。飛騨の名物「朴葉ずし」
不要な荷物を小屋の軒先にデポして軽身で山頂に出発です。
小屋を出た直後が急な岩場になっており、集中力maxでスタートします。
こういう場所では体力が充実していて体がキレキレに動いたとしたも急がないのが鉄則。
梯子や鎖が続く難所をクリアし平坦なところに出ると、東の空から陽が上がってきました。
小屋を見下ろすぐらいまで上がったところで、振り返ると涸沢岳、北穂高岳と…その先に槍ヶ岳がお目見えです。
みるみるうちに陽が上がりました。
好天の予感。
笠ヶ岳方面。昨日陽が落ちて素晴らしい景色を見せてくれた笠ヶ岳と白山。
今朝も雲海。
景色を見ながら歩みを進めると、順調に奥穂高山頂に到着です。
まず目に飛び込んでくるのはこのピーク、穂高岳を守る前衛の山「ジャンダルム」。
展望は抜群だったので、各方面の展望図をどうぞ。
画像の横の < > を押すと山名が表示されます。
山頂は穂高神社の嶺宮です。
この山頂に穂高見命(ほだかみのみこと)が降臨したという伝説があります。
しかしながら穂高見命は海の神。こんなに山奥なのに…謎です。
トウヤクリンドウも多く見られました。
トウヤクはセンブリのことですので、言わばセンブリリンドウ。
このトウヤクリンドウもセンブリ同様に胃薬になります。
下りもスイスイと順調でした。
最初の岩場まで戻ってくると岩の割れ目から素晴らしい株のイワギキョウが咲いていました。
小屋前に戻ってくるとホッとします。
この小屋前の石畳も芸術品です。
まだまだ天気が悪化する兆しも見えず。
デポした荷物をパッキングします。
東側を見ると少し常念岳の奥から雲が沸きはじめてきてはいますが、本日は眼下に見える涸沢ヒュッテまで。
慌てることはありません。
ザイテングラートを下ります。
数年前にここで立て続けに事故が起こりましたが、どうしてそうなったのか?そんなに危険なところではありません。
とにかくしっかり整備されていますので、気を抜かなければ事故は想像しずらい場所です。
結局は何かしら人的なミスがあったということはほぼ間違いないと思いますが。
落石を起こさないよう確実な足さばきで丁寧に下れば大丈夫。
秋の雲が上空を覆い始めました。
低気圧が近づいている前兆でしょうか。
ザイテングラートを下り切って、トラバースのところから上を見上げると涸沢槍と呼ばれる岩峰がひときわ尖って見えます。
今はちょっと地味な色ですがカール内のお花畑です。
予定よりも少し早くお昼前に涸沢に到着しました。
一般的には少し休んでから上高地まで5~6時間の下山が待っているのですが、今日の行動はここまで。
ゆとりのある行程というのはこういうこと。
涸沢のテラスで穂高を眺めながらのんびりするというのは登山者であれば憧れの時間なのではないでしょうか?
昼過ぎにゴロゴロと雷が鳴り、雨も降ったり止んだりでしたが。
すぐに建物に入れるので安心。
そしてこの日は土曜日だったのですが、人も少なく、いいのかな?というぐらい広々快適な涸沢ヒュッテでした。
day4
下山の日、雲が多くて山が赤く染まるモルゲンロートにはならず。
朝の出発前にあまりに人がいなかったので慣れないパノラマを撮ってみる。
さぁ下山開始です。
朝露に濡れるオオヒョウタンボクの実。
美味しそうですが、食べたら死ぬかも知れません。
往路でもここから穂高を望んだSガレ。
この後は河童橋まで穂高は見えなくなっちゃいます。
穂高よさらば。
横本谷、ここももう少しすると見事な紅葉になります。
今年の涸沢の紅葉はどうなるのでしょうか?
左奥の山は南岳です。
ゴゼンタチバナも綺麗な実をつけていました。緑に映えます。
横尾を過ぎて林道歩きに入ります。
クルマバツクバネソウがちゃんと突羽根になってました。
羽子板の羽根です。
これ見ての通り葉が車状になるので、名に車葉が付きます。
そんなこんなで、最終日も大きな疲労感なく上高地に無事下山しました。
好天に恵まれ、いい山歩きになったことと思います。
4日間ありがとうございました!
なんとなく行程を見ると、ゆとりあり過ぎない?と思われるこの奥穂高岳の3泊4日。
実はしっかりと涸沢、穂高を楽しむのにちょうどいいんです。
この時期は昼過ぎから雷雨もあり必ずしも予定通りの行動ができるとは限りません。
今回は実際に毎日雷雨がありましたが、全て避けられました。
条件が良かったということもありますが、なんと奥穂高岳山頂に1時間半もいました。
涸沢からの景色も行きと帰りでこれでもかというぐらい堪能しました。
心ゆくまでという言葉がありますが、まさにそれ。豊かな山での時間そのものだと感じました。
そして上高地や明神を山への通過点と思っている人が多い!
こんなに勿体ないことはないと常々思っていて、来シーズンは上高地をしっかり歩いてから山に向かうような企画ができればと考えています。