奥秩父縦走 道具編
これが「住」の中の建物一式です。
敷いてある黄色いのが幕。
アライテント スーパーライトツェルト2ロング 362g
上に置いてあるものは左から
BlackDiamond ウルトラディスタンス 273g
アライテント ツェルト用張り綱 4m 49g
アライテント ツェルト用内フレーム 130g
ペグ 10本 計80g
合計重量は894g
あまり馴染みのない方もいると思いますので、ざっくり設営手順を。
まずツエルトを地面に置いて4隅をペグダウン。
その後、写真のようにポールを立てて張綱(オレンジの紐)を巻きつけて2か所ペグダウン。
逆側も同様に。
見ての通りこれで概ね建設は完了してます。
4隅と張綱の4か所でペグは今のところ8本使用。
上の状態で室内を見た図。
ここのひと手間加えて室内を俄然快適にします。
どうでしょうか!なんかわかり辛いですね…。
ツエルトの内側に1本のフレームを足すことで、内部空間がかなり広がっているんです。
広がるという表現よりは狭まらないと言った方が正しいかも知れません。
風に煽られればその効果がよーく分かります。
図で書くとこんな感じ。
ある程度経験のある方からは、
せっかくツエルトで軽くなっているのにフレームを持つの?
外から紐で引っ張ればいいじゃん。
などご意見があるかも知れません。
こればかりは実際に使ってもらわないと説得力に欠けるところです。全然住環境が違います。
この内フレームの重量は130g、その130gと使った時の快適さを天秤にかけて快適さが圧勝するんで僕は使っています。
軽量化を進める上で大切なのはこの 重量対効果 という発想。
重量と効果を同じ土俵で比較しなくてはいけないので、体力や登山計画、忍耐力なども絡んできて結果は千差万別。
ひとりひとり答えが違ってくるものだと思います。
とにかく重量を減らすだけの数字遊びになってしまっては見失うものがあると言うこと。
内フレームをセットして設営完了。
内フレームが地面に設置しているところの外側にもずれないようにペグを打ちます。これで計10本のペグを使いました。
ペグの刺さりやすさや天候にもよりますが、条件良ければ設営開始からここまで5分。
少ししわがよってますが、ポールがもう少し長ければもっとピンと張れます、伸縮式のポールだとあとから伸ばして張り具合を調整できます。
今回のポールは長さ110cm固定で調整できないタイプなのでこんなもんですね。特に問題はありません。
ただし、傘と同じでピンと張れば張るほど水弾きが良くなり撥水力は高まります。
次は内装です。
タイベックという建築資材を使います。
もはやこれが建築資材だということを知らない人の方が多いかもしれませんね。いわゆる防水透湿シートです。
1m×2mで1000円程度で購入できます。
非常に安価でモンベルではこの素材でシュラフカバーや防護服なども作られています。
敷いてある部分(銀色のところ)は結露しませんが、敷かれていない部分(黄色のところ)はみごとに結露します。
内装はそんな妥協の状態で終了。
タイベックの幅は1mなので、このツェルトがけっこう広いということもお分かりいただけると思います。
次は家具の設置です。
マットは山と道のU.L.Pad15Sです。
写真はありませんが、シュラフはISUKA のイスカエア 130X
これも写真にありませんが枕は既製品を持ちます。
衣類をスタッフバックに入れて枕に…というのもよく聞きますが、睡眠の質が違います。これも僕なりの重量×効果によるチョイス。
重量をまとめると
ツエルト一式 894g
デュポン タイベック シルバー 1m×2m 119g
山と道 U.L.Pad15S 75g
ISUKA イスカエア 130X 330g
SEA TO SUMMIT Aeros Pillow Premium(枕) 85g
建物+内装+家具で「住」の 合計は 1,503g でした。
「住」の次は「食」。
これがお湯を沸かす道具と食器一式です。
左上から時計回りに
PPボトル 100ml w/メジャーキャップ(燃料タンク) 19g
(燃料用アルコール 92g・約4fl oz)
snowpeak チタンシングルマグ 450(鍋) 67g
TrailDesigns Vari-Vent Windscreen(風防) 15g
snowpeak チタンシングルマグ 300(コップ) 42g
高耐熱アルミ付きシリコンフォームシート(敷物) 9g
Hiker's Depot Quatro Stove(五徳) 12g
プリムス チタン・フォールディングスポーク 18g
TOAKS チタニウムリッド LID-D80(鍋の蓋) 16g
Bic ライター 12g
evernew Tiアルコールストーブ EBY254 35g
合計 337g
シリコンフォームの上のアルコールストーブを置き、Quatro Stoveをセットして鍋となるチタンマグ450を乗せたところ。
この高耐熱アルミ付きシリコンフォームのような断熱材がないと、ツエルトがあっさり溶けます。
それほど暑くなります。当然お湯を沸かした後のマグも素手では触れられません。
また、アルコールストーブは大量の酸素を使うので、換気にも気を付けます(これはガスバーナーでも同様)。
その一方で風に吹かれると炎がなびいてしまい、熱が伝わらず全然沸騰しません。少し慣れと経験が必要です。
あとはひっくり返ると大変なのでバランスも大事です。
燃焼中に全体がひっくり返ったらほぼ間違いなく火事です。
今回は換気に注意しつつ、出口付近で使用しました。
風防は当然ながら風上側にセットします。
これは左から風が来ているという想定の図。
燃料を入れて火を着けます。
よーく見るとバーナーの右側、マグの持ち手のあたりに延びる炎が見えると思います。
青い炎なので、明るいととても見えずらいです。
アルコールバーナーは本体が暖まり、アルコールが気化してからようやく本燃焼に移りますので、盛んに燃え出すまでしばらく時間がかかります。条件にもよりますが30~40秒ぐらいでしょうか。
なお、本燃焼に移行すると手をつけられないぐらい激しく燃えます。
つまりはじめにアルコールを投下し過ぎると、ガンガンに沸騰しているのに止められないという事態に、これはかなり危険です。
焦らずにとにかく鍋(コッヘル)をバーナーから降ろしましょう。
ちなみに少ない場合も気軽にアルコールのつぎ足しはできません。完全に燃焼が治まってからです。
沸かす水の量、風、気温それらを総合的に判断してアルコールの量を決めます。
間違いなく経験が必要なので、必ずぶっつけ本番じゃなくてちゃんと安全なところで練習して慣れてから使って下さい。
途中で消せるモデルもあるようですが、僕はいまのところこれで不便は感じていません。
火を着けてから3分30秒で300mlほどの水が沸きました。
※今回は写真撮影のため安全に配慮し幕内でバーナーを使用しておりますが、アルコールバーナーやガスバーナー問わず火器はテント外での使用が基本であり、屋外での使用を強くおすすめ致します。
使用する器具の取り扱い説明書および注意事項をよく読んで正しい使用方法を厳守して下さい。
素手では持てないので革の手袋で持ちます。
本来の用途はビレイグローブですが、こういう用途も想定すると穴あきだとダメですね。
化繊の手袋でももしかすると溶けるかも知れません。
これでもずっと持っていると暑いです。
BEAL アシュアマックスグローブ 95g
今日の夕食はこれ、たまたまどちらもお客さんからのいただきものでした。
ありがとうございます。
アルコールバーナーだと気軽に火力調整ができないので、このようなお湯を注ぐだけのメニューが良いと思います。
なのでラーメンの場合もサッポロ一番じゃなくチキンラーメンを。
美味しくいただきました。
ちなみに、snowpeak チタンシングルマグ 450 には、このように燃料以外の湯沸かし道具一式がわりときれいに収まります。
あとは蓋を乗せてスタッフバッグに入れればコンパクトにパッキングできます。
日帰り登山装備に加えて
「住」1,503g
「食」337g
1,840gの増です。2食分の食料を入れて2kg強。
どうでしょうかどうしても持てないという重量じゃないと思います。
今回のザックは BlackDiamond Nitro22。
重量は22リッターにして重めで910gです。
これは私見ですが(ここまでもほとんど私見でしたが…)、ザックの重量ってあんまり気にするところでは無いと考えています。
軽いものの否定ではなく、重かろうが軽かろうが自分に合うかどうかだと思います。
結局よく出来たザックは重さを凌駕する背負いやすさがあります。軽くて自分に合うのであればそれは最適でしょう。
逆に重くて合わないのであれば買い替えですね。
Nitro22は今回初使用でしたが、良いザックでした。
色は目が痛くなるような赤ですが…。
ロストアローのアウトレットで7,700円也。
横からの図。
食料も少し減っているのでそこまでパンパンではなくまだ入りそうな感じですね。
マットだけは入らなかったので泣く泣く外付けです。
外付けはなるべくやめましょう。なにもいいことはありません。
つまりひとつひとつの装備を熟考してパッキングすればこの容量でのテント泊は全然可能ってこと。
ついでに靴も。
汚くてすいません。しかも朝露に濡れてビショビショです。
装備が軽ければ靴も軽くてOK。
今回は
MERRELL トレイルグローブ4 E-メッシュ 413g
現在は廃盤でトレイルグローブ5というモデルが出ているようです。
いわゆるベアフットシューズというやつで、つま先と踵部分の高低差がない0mmドロップ。
なんのこっちゃですが、裸足に近い感覚で歩ける(走れる)よ。
というものです。
ちなみに僕は山では一切走りません、てくてくと歩くのみです。
このモデルはソールはビブラムでつま先を(登山靴とは全然別物ですが)ラバーっぽい素材でガードしているので、山に向いているモデルです。それで名前にもトレイルと入っているのかな?
足さばきは重い登山靴とは比較にならないほど快適。
しっかりめのトレランシューズよりも歩いていて楽です。
※あくまでも個人的な感想です。立場上あまりおすすめはしません。
では最後に今回の装備表を。何かの少しでも参考になればと思います。
補足:
in packはザックに入っているものというより固定重量の合計。基本的に増減しないものです。
wearは靴や時計も含む身につけているものの合計。
consumeは消耗品の最大時の合計です。ロールペーパーとか日焼け止めも消耗品ですが、ここでは必ず減っていく水・食料・お酒・燃料を消耗品としています。
食料は1,645gとありますが、この時は最終的には5~600gほど余りました。
では次は 奥秩父縦走のつづき です。